「ふるさとをかえせ・福島原発避難者訴訟」(早川篤雄原告団長)の第22回口頭弁論が3月22日、福島地裁いわき支部(島村典男裁判長)で開かれ、環境政策論が専門の除本理史(よけもと・まさふみ)大阪市立大学大学院教授に対する証人尋問が行われました。
原告が求めている「ふるさと喪失」慰謝料についての見解を証言した除本氏は、「ふるさと」とは事故の日までに日常生活を送り、生業(なりわい)を営んでいた場、「地域」だと指摘。「日常生活と生業を営むために必要なあらゆる条件であり、人々が地域で社会関係を取り結びながら長い時間をかけてつくりあげてきた、農地など生業の手段、人々が暮らすのに必要なさまざまなインフラなど、一切の条件をさす」と述べました。
除本氏は、裁判所での司法的救済において、コミュニティー、あるいは故郷の喪失という事態は、法的保護が与えられるべき権利、利益だとする見解を示し「原発事故による地域社会と住民への被害は重大であり、その被害回復が求められている」と、証言を結びました。
(「しんぶん」赤旗2017年3月23日より転載)
避難者いじめ認定・・前橋地裁判決 原告の子ら5人
東京電力福島第1原発事故で福島県から群馬県に避難した住民らによる訴訟で、国と東電の賠償責任を認めた3月17日の前橋地裁判決が、原告である子ども5人について、転校先の学校などで、いじめや嫌がらせで精神的苦痛を受けたと認定していたことが22日、分かりました。
判決によると、5人はいずれも事故当時、15歳未満でした。福島県から群馬県に避難した女の子は、男子生徒から「気持ち悪い、近づくな。吐き気がする」と書かれたメモをかばんに入れられました。避難先から戻った男の子は福島県内の中学校で、「おまえは避難をしてきたのにまた戻ってきたのか」などと言われました。
判決では5人について、いじめや嫌がらせなどで精神的苦痛を受けたと認定。ただ、うち3人の慰謝料は東電がすでに支払った賠償金を超えないとして請求は棄却されました。
(「しんぶん」赤旗2017年3月23日より転載)