福島地裁支部・第22回口頭弁論
元の生活をかえせ・原発被害いわき市民訴訟(伊東達也原告団長)の第22回口頭弁論が3月15日、福島地裁いわき支部(島村典男裁判長)で開かれました。
原告側は、いわき市民が負った原発事故被害について陳述しました。
原告代理人の渡辺淑彦弁護士は、国や東電が原発事故の賠償の範囲や額を定めた原子力損害賠償紛争審査会の中間指針で「賠償しているから十分である」という主張に五つの例を示して反論。
①初期被ばくをしたかもしれないという被害②避難すべきか否か究極の選択を強いられたことの被害③避難実行中の被害④避難場所でのさまざまな苦労⑤子や孫を持つ親や祖父母として、健康被害、結婚・出産、差別などの不安、地域環境を害されたことへの被害―など、中間指針では想定していない損害について賠償責任があることを主張しました。次回は5月10日です。
(「しんぶん」赤旗2017年3月16日より転載)
国の責任、初判断へ・・原発事故 避難者訴訟あす判決 前橋地裁
東京電力福島第1原発事故で福島県から群馬県に避難した住民らが、国と東電に計約15億円の損害賠償を求めた群馬訴訟の判決が3月17日、前橋地裁で言い渡されます。約30件ある同種集団訴訟で初の判決。事故をめぐり国の責任を正面から問う裁判の判決も初めてで、判断が注目されます。
原告は避難区域外からの自主避難者を含む45世帯137人。避難を余儀なくされ、平穏に生活する権利を侵害された慰謝料などとして、1人当たり1100万円を求めています。
主な争点は、①国や東電は津波を予見し、事故を回避できたか②東電に事故対策を指示する規制権限が国にあったか③国の原子力損害賠償紛争審査会の指針を上回る賠償が認められるか―の3点。
原告側は予見可能性について、旧原子力安全・保安院などが2006年に設置した勉強会で、津波のリスクを検討していたと指摘。「遅くとも06年ごろまでには、東日本大震災時と同レベルの津波発生や全電源喪失の危険性を予見していた」などとし、停止命令などの規制権限を行使すべき義務があったと訴えました。
被告側は「巨大津波は予見できなかった」と反論。国は「規制権限はなかった」とし、東電は指針を超える賠償は相当ではないと主張しています。
(「しんぶん」赤旗2017年3月16日より転載)