各地で結審
東京電力福島第1原発事故での国と東京電力の責任を問う福島原発訴訟は、3月17日の群馬訴訟判決(前橋地裁)を皮切りに、干葉訴訟(干葉地裁・9月22日判決)、生業(なりわい)訴訟(福島地裁・3月21日結審)、京都訴訟(京都地裁・9月29日結審)、避難者訴訟(福島地裁いわき支部・10月11日結審)と最初のヤマ場を迎えます。
2月19日、東京都内で「裁判勝利! 福島切り捨てを許さない」決起集会が開かれました。2016年2月に結成された原発被害者訴訟原告団全国連絡会の主催。連絡会に加盟した原告は当初、約9000人でしたが、この1年間で約3000人増え、21原告団、約1万2100人となりました。
同連絡会事務局長の佐藤三男さんは「提訴には覚悟がいる。それを乗り越えて原告に加わったことは被害を深刻に受け止めていることのあらわれです」と指摘。被災者の現状について「福島県から避難した子どもへのいじめが社会問題となっていますがこの被災者へのいじめもある。自主避難している人たちは福島から来ていることを明らかにすることができず、ひっそりと暮らしている。住まい、生業、人生を奪われ、裁判に訴えざるを得なかった被災者の気持ちを分かってほしい」と裁判への理解を訴えます。
原発問題住民運動全国連絡センター筆頭代表委員の伊東達也さんは「福島原発事故は日本史上最大にして最悪の公害」と強調。理由として、▽多数の人がふるさとを奪われ、震災関連死・自殺・孤独死が続出するなど過酷な避難生活に追い込まれている▽福島県を超えて広範囲に被害が広かっている▽被害額が膨大▽復旧・復興に途方もない期間がかかる―ことを挙げます。
伊東さんは「勝訴できれば原発をなくす日本をつくる力となる。原発再稼働差し止め訴訟や運転差し止め訴訟は3・11後は4勝6敗。以前は2勝36敗だったものが変化が表れている。真の復興と希望を見いだすための重要なたたかいだ」と話します。
「諦めない」
生業訴訟原告団長の中島孝さんは「相馬市で行っている原発ゼロを訴える金曜行動は200回を超え、『諦めない日本人』の姿を見せた。私たちのたたかいが4千人を超える原告団になったのは福島県民が負った被害実態に見合った賠償になっていないことへの怒り。二度と原発事故は繰り返してほしくないという願いが本当に強いからだ」と言います。
政府は、福島県民と国民の声を無視して原発再稼働を進めています。
中島団長は言います。
「法廷の外には『政府の暴走を止めないと大変だ』と思った国民の意思が広くあります。全国20を超える原告団すべてで勝訴させる。加害者の責任をはっきりさせるまで私たちはたたかいぬきます」 (おわり)
(柴田着太、菅野尚夫、高橋拓丸、田代正則、福島県・野崎勇雄が担当しました)
(「しんぶん」赤旗2017年3月16日より転載)