経営再建中の東芝は3月14日、2016年4~12月期決算を4月11日まで再延期しました。米原発子会社ウェスチングハウス(WH)の内部統制問題の調査継続が理由で、2度の延期は極めて異例。東証上場の廃止が懸念される深刻な状況に陥ったことを受け、経営危機の根源であるWHの非連結化を目指す方針を表明しました。WHは米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の申請も検討しています。
米原発事業 切り離し表明
東芝の綱川智(つなかわ・さとし)社長が同日、記者会見。記憶用半導体フラッシュメモリー事業に続き、米原発子会社ウェスチングハウス(WH)についても過半数の株式を売却する方針を表明しました。経営再建に向け両事業を切り離すことで、売上局はピーク時の6割程度となる4兆円規模に縮小します。
東芝はメモリー事業とWHを除いた2019年度の連結売上高を4兆2000億円とする計画を公表しました。
東芝の売上高のピークは07年度の7兆2088億円。しかしその後、携帯電話や液晶、白物家電、医療機器の各事業を次々に売却した結果、15年度は5兆6687億円にまで減少しました。
決算発表の再延期は、WHの内部統制問題の調査で、一部経営者が会計処理で不適切な圧力をかけたと認定され、16年4~12月期以前の決算についても追加調査が必要となったためです。東芝は2月14日、内部通報で指摘された「不適切な圧力」を調べるため、決算発表を1ヵ月延期していました。
東芝は4月11日までに4~12月期決算の四半期報告書を関東財務局に提出できず、再々延長が認められない場合、8営業日後に上場廃止となります。財務局が3度目の延期を認めた例はなく、緊迫した状況が続きます。
米原発事業 米破産法の申請は「決まっていない」綱川社長
東芝の綱川智社長は3月14日の記者会見で、米原発子会社ウェスチングハウス(WH)の米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の申請に関し、「選択肢ではあるが、決まったものはない」と述べました。
「どこかの段階で経営判断される」経産相
世耕弘成経済産業相は3月14日の閣議後記者会見で、東芝が米原発子会社ウェスチングハウス(WH)の米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)申請を検討していることに関して、「いろいろな動きが出てきていて、最終的にどこかの段階で経営判断が行われていくことになるだろう」との見通しを示しました。
麻生太郎財務・金融相が10日の会見でWHの破産法申請の必要性に言及したことについて、世耕氏は「10日時点での麻生大臣の率直な感想を話されたのではないか。決算の問題も含めてその後も日々さまざまな状況変化がある」と指摘しました。
東芝が2016年4~12月期決算を再延期することには、一般論として「上場企業は監査法人との関係も含めた十分な情報開示や、海外子会社を含むガバナンス(企業統治)の実効性の確保が重要だ」と語りました。
(「しんぶん」赤旗2017年3月15日より転載)