日本共産党嶺南地区委員会 > しんぶん赤旗 > “対談①”原発事故6年・・原子炉直下の映像に衝撃/調査ロボ 堆積物で動けず

“対談①”原発事故6年・・原子炉直下の映像に衝撃/調査ロボ 堆積物で動けず

廃炉の遅れ

元中央大学教授 舘野 淳さん

 東京電力福島第1原発事故から6年。原発の危険性について早くから警鐘を鳴らしてきた舘野淳・元中央大学教授(核燃料化学)と野口邦和・日本大学准教授(放射線防護学)が対談しました。溶けた核燃料(デブリ)取り出しに向けた内部調査や、廃炉の困難さ、再稼働、「もんじゅ」廃炉など原発行政の動きについて語り合いました。

 ―ロボットなどを使った2号機原子炉格納容器の内部調査が1~2月に実施され、カメラ映像などから、状況が分かり始めました。

 舘野 映像では、圧力容器の真下にある鉄格子の足場が、すとんと抜け落ちていました。衝撃的でした。

 格納容器内の放射線量は高い所で、実測値が毎時210シーベルト、映像のノイズからの推定値で同650シーベルトにもなりますが、奥まで進んで原子炉圧力容器の真下の近くでは同20シーベルト。線量のピークみたいなものがある。これはなぜなのか、疑問に思っています。

日本大学准教授 野口邦和さん

 野口 放射線量の高いところ、低いところが散在しています。圧力容器真下が一番高いわけでもない。どこかに燃料デブリがあるのでしょうが、どこにどのような状態であるのか、まだよくわかりません。

 舘野 圧力容器内の事故前の物質量は、核燃料や様々な構造物を合わせて数百トンです。真下の鉄格子などが溶け落ちるほどですから、デブリが数トンから数十トン落ちている可能性があります。

 米スリーマイル島原発事故(1979年)の場合、核燃料は圧力容器の中にたまっていて、下には落ちていませんでした。

 野口 デブリ取り出しのための内部調査は、2号機で姶まったばかり。本格的調査(2月16日)のロボットが回収できなくなったのは、放射線量が高かったからではなく、走行用のベルトに堆積物が挟まって動けなくなったのが原因と考えられています。

 今年、取り出し方針を決めて、2018年度に取り出し方法を確定するそうです。どう考えても、国や東電が決めた廃炉工程「中長期ロードマップ」通りに進んでおらず、遅れ気味です。

 しかし、調査が進まないことには、取り出し方法も決まりません。安全最優先で一歩一歩、慎重に調査することが重要だと思います。 (つづく)

(「しんぶん」赤旗2017年3月10日より転載)