2011年の東日本大震災による東京電力福島第1原子力発電所事故に伴う賠償業務に携わり、精神障害(うつ病)が発症したのは労働災害であるとして労災認定を申し立てている東電元社員が3月6日、中央労働基準監督署に早期認定を要請しました。
要請したのは昨年10月に労災認定を申請した、法人部門の賠償業務を統括する産業補償総括グループ基準運用チームの一井唯史さん(35)。
一井さんは、2月に同監督署から、東電が労災申請書の会社記入について「(本人から)申請を受けていない」と報告していると聞き、「在職中になんども申請手続きをお願いし、労務担当にも協力を求めたが何もしてもらえなかった。報告を聞き違和感を覚え、東電の理不尽な対応を思い出し数日間、心身のバランスを崩してしまった。都合の悪いことは平気でウソをつく会社の体質を認識してほしい」と訴えました。
請求代理人の色部裕社会保険労務士は「サービス残業をせざるを得なかったのは賠償業務という責任の重さからきている。極度の緊張がともなう業種、それによる精神的な負担など総合的判断をもって調査してほしい」と要望しました。
応対した労災担当者は「申請は受理している。必要な調査、資料収集も含めて東京労働局と共同調査している。5月、6月にも結論を出す見通し」と述べました。
(「しんぶん」赤旗2017年3月7日より転載)
検査体制遅れている・・原発再稼働シンポで批判
東京で科学者ら
「原発再稼働と『もんじゅ』廃止」をテーマにしたシンポジウムが3月5日、東京都内で開かれました。日本科学者会議原子力問題研究委員会と核・エネルギー問題情報センターの共催です。
元ゼネラル・エレクトリック技術者で、原子カコンサルタントの佐藤暁(さとし)氏は、日本の規制制度の問題点を米国と対比し解説。日本の検査制度や検査官の力量などが未熟であることを指摘し、再稼働が進められる中、「検査(体制)が遅れていて心配」と述べました。
新潟大学名誉教授の小林昭三氏は、事故を起こした東京電力福島第1原発の現状や柏崎刈羽原発の原子力規制委員会での審査を報告。日本科学者会議原子力問題研究委員会委員の山本雅彦氏は、福井県の原発の再稼働をめぐる住民訴訟と運動の状況を報告しました。
元日本原子力研究開発機構研究員の岩井孝氏は、原子力機構の高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉を決定しながら、代わりの高速炉を開発し、核燃料サイクルの推進を掲げる政府方針を批判。プルトニウムの増殖を取りやめながら、高速炉が高レベル放射性廃棄物の減容・有害度低減に有効との政府の宣伝は「高速炉の生き残りのためのうたい文句。ゴミをどうすべきかはきちっと議論すべきだ」と強調しました。
(「しんぶん」赤旗2017年3月7日より転載)