柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の事故時の対応拠点として使用する予定だった免震重要棟を使わないと方針転換を表明した東京電力は2月23日、免震重要棟の耐震不足を2014年の試算で把握しながら公表しなかったのは「信頼性が劣ると考えた。仮のものだった」などと説明しました。同日開かれた原子力規制委員会で報告されました。
会合で東電の姉川尚史常務執行役が13年の審査申請時からの経過と対策を説明。規制委側は、審査に臨む姿勢などを指摘し、引き続き説明を求めることになりました。
東電は当初、対応拠点を免震重要棟にして「十分な耐震性を確保する」としていましたが、13年12月に耐震性を試算。想定する7ケースの地震の揺れのうち5ケースで耐震性に問題があるとして14年2月に、3号機原子炉建屋内に拠点の追加設置を決定。2ヵ月後に別の条件で試算したところ、7ケースすべてで耐震性に問題がある結果が得られました。
この試算を東電が今月14日の審査会合で明らかにし、想定される地震の揺れに襲われると「相当の被害が出る」と説明。東電は21日になって免震重要棟を使わないと表明しました。
方針変更では昨年10月にも、対策拠点にしていた3号機原子炉建屋内を、防潮堤の液状化対策に時聞かかかるからという理由で、5号機原子炉建屋内に変更。再稼働を急ぐ姿勢を示していました。
(「しんぶん」赤旗2017年2月26日より転載)
柏崎市長が真相究明要求
東京電力柏崎刈羽原発が立地する新潟県柏崎市の桜井雅浩市長は2月23日、東電が免震重要棟の耐震性について原子力規制委員会に誤った説明をしていた問題について「非常に遺憾で残念。私自身の考え方も、考え直さなければいけない可能性も出てくる」と述べ、東電に真相究明を求めました。説明に訪れた東電新潟本社の木村公一代表らとの会談で伝えました。
桜井市長は安全対策の確保を条件に、再稼を容認する立場を示してきました。会談後、市長は記者団に「再稼働には不安の方が大きくなってきた。状況を見極めながら(条件が)より一層厳しくなる、もしくは(再稼働を)認めないという立場に変わる可能性を含め考えたい」と述べました。
木村代表らは、もう一つの立地自治体の刈羽村も訪問。品田宏夫村長は、規制委の審査に合格すれば再稼働を認める立場を維持するとした上で、「しっかりと対応してもらいたい」と東電に注文を付けました。
(「しんぶん」赤旗2017年2月26日より転載)
原子力機構もんじゅ・燃料取り出し・・5年半の根拠示せず
政府が昨年末に廃炉を決定した日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉へ向けた工程について原子力規制委員会の監視チームの初会合が2月23日、開かれました。原子力機構からは5年半かかるとされる燃料の取り出しの根拠は示されませんでした。
原子力機構は、もんじゅが停止してから長時間たち、すでに燃料の発熱はかなり低下しているため、燃料取り出し前にも放射性物質に接触していない2次系ナトリウムの抜き取りが可能と評価。早期の抜き取りで、ナトリウム漏えいの危険性を低減できるとしています。ただし、具体的な工程や日程は検討中としています。
また、燃料の取り出しは交換部品の調達に時間がかかり、設備の整備・点検に12ヵ月以上必要との見通しを示しました。
規制委は取り出し期間の根拠の説明や短縮を求めています。規制委が改めて根拠をただすと、原子力機構は「文部科学相の方から目標として指示された」と回答。一方、文科省からの出席者は「機構とは調整した上で、(5年半で)十分できるという心証は持っている」と説明しました。
(「しんぶん」赤旗2017年2月26日より転載)