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玄海・大飯再稼働・・避難体制不安な原発動かすな

 原子力規制委員会(田中俊一委員長)が「規制基準」に「適合」すると1月に決めた九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県)に続いて、関西電力大飯原発3、4号機(福井県)についても「適合」との審査書案をまとめました。安倍晋三政権は規制委が「適合」と認めた原発は再稼働させるとしていますが、規制委の審査は原発が安全だとお墨付きを与えるものでなく、地震や津波の想定が低すぎると関係者からも批判されています。何より規制委は事故が起きた場合の避難体制は審査対象外で、玄海や大飯も避難体制に重大な問題を抱えており、再稼働など論外です。

被災者の気持ち逆なで

 現在稼働中の原発は九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)と四国電力伊方原発3号機(愛媛県)ですが(川内2は定期検査中)、規制委は関西電力高浜原発1~4号機(福井県)や同美浜原発3号機(同)についても「規制基準」に「適合」すると認めており、相次ぐ審査は再稼働に弾みをつけることになります。

 2011年3月の東日本大震災で発生した東京電力福島第1原発の事故後、全国の原発が相次いで停止し、長期間にわたって「稼働原発ゼロ」となっていました。事故から6年近くたっても原発事故の詳しい原因も事故の収束や廃炉の見通しも立たないのに、次々と原発を再稼働させるのは住民の安全を軽視し、事故の被災者の感情を逆なでするものです。

 今年に入り規制委が「適合」とした玄海や大飯は、玄海は昨年九州地方を襲った連続地震との関係などが懸念され、大飯は地震学者で元規制委委員長代理の島崎邦彦氏までが地震の揺れが過小評価されていると指摘している等、「適合」するとされた「規制基準」そのものに重大な問題があります。

 同時に、規制委が審査対象外としている避難計画をめぐっては、海岸沿いの道路が津波に襲われる懸念がある川内原発や細長い岬の付け根付近に原発があって岬の住民は海に逃げるしかない伊方原発も不安ですが、玄海や大飯の場合も深刻です。玄海は事故の影響が想定される区域に多くの離島を抱えて避難の実施が困難視されています。大飯は周辺に美浜、高浜などの原発が集中立地しているため、万一事故が連続した場合には逃げ場を失う恐れがあります。避難体制に不安を抱えた再稼働は、絶対にやめるべきです。

 原子力規制委が避難体制を審査の対象外としているため、住民の避難計画は国と自治体任せとなっており、国の原子力防災会議が形式的に承認を与えていますが、原発を再稼働させるかどうかの同意には、原発がある県と立地する自治体以外、関われていません。事故の際、避難を余儀なくされる多くの住民が避難体制に不安を抱いているのに、意思表示の機会もないというのは重大な欠陥です。

電力会社利益優先でなく

 原子力規制委の「審査基準」や「適合」判定に重大な疑問が相次いでいるのに、万一の場合の避難体制も置き去りにして原発の再稼働を急ぐのは、電力会社の利益最優先、住民無視の極みです。原発を稼働させなくても電力不足が起きないことはすでに証明済みです。原発は稼働させず、事故原因の徹底究明と、事故対応をこそ急ぐべきです。

(「しんぶん赤旗」2017年2月23日より転載)