東京電力福島第1原発2号機の原子炉格納容器内の調査で堆積物除去ロボットのカメラ映像が暗くなった不具合の原因について、東電は2月9日、高い放射線が影響したとみられると明らかにしました。
同日の調査で、圧力容器直下につながるレール上の線量は、推定で毎時約650シーベルトでした。ロボットのカメラは放射線に対し、積算で約1000シーベルトに耐えられる設計です。ロボットを投入して約2時間後に映像が暗くなったといいます。格納容器の入り口から約3メートルの地点です。
今回の調査では三つのカメラを使用しましたが、不具合はロボット前方のカメラで発生。ほかの二つには、大きな変化は見られなかったといいます。
高圧水を噴射してレール上の堆積物を除去する作業は、予定した約5メートルのうち約1メートルを実施。圧力容器に近づくに従い、堆積物の固着が強くなり、除去に時聞かかかりました。
廃炉の困難さ浮き彫り
2号機格納容器内の放射線量が推定で過去最高の毎時約650シーベルトとなり、廃炉作業の困難さを改めて浮き彫りにしました。仮に人が浴びれば数十秒で致死量に達するほど、過酷な放射線環境です。
格納容器内の放射線量は1月の調査で、圧力容器の周囲を覆う壁から約2・3メートルの空間では毎時約530シーベルト。一方、圧力容器直下の作業場の入り口付近では同20シーベルトと低くなっています。場所により大きく異なり、放射線源がどこにあるのか疑問が浮上しています。
圧力容器直下の溶け落ちた核燃料(デブリ)の状況を本格的に調査するため、東電が2月中にも投入するロボットのカメラも、今回のロボットと同様の耐放射性(積算約1000シーベルト)です。
2号機格納容器内の放射線量は2012年の測定では最大毎時約73シーベルトで、十数時間撮影できる計算でした。しかし今回、2時間程度でカメラに不具合が生じ始め、高い線量がロボット調査への大きな妨げとなることが予想されます。
放射線量のほかにも、レール上の堆積物がロボットの走行を阻みます。今回の調査でも、堆積物で走行できなくなり、ロボットにつなげたケーブルを作業員が引っ張った箇所がありました。
1月の調査では、圧力容器直下の作業用の足場がなくなり穴が開いている箇所が見つかっており、走行ルートの再検討が余儀なくされています。
東電も、本格的な調査ロボットの投入の「実施可否を含めて検討する」とするなど、先行きは不透明です。
(「しんぶん」赤旗2017年2月11日より転載)