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「時期尚早」募る不安・・第2原発立地の富岡町 避難指示一部解除へ

 東京電力福島第1原発事故から間もなく6年―。政府は福島県の自治体に出した避難指示のうち、帰還困難区域以外は4月までに解除する方針です。避難自治体は今、どうなっているのか。順次紹介します。

 

福島原発事故6年

避難自治体は今

 「夜になるとイノシシが群れでやってくる。鉄線を張っているが、だめだ。昼間だけでなく、夜の町をみんな自分の目でみてくれ。もうおれたちの町じゃなくなっている」

 福島県郡山市で開かれ、約300人が参加した住民説明会で、帰還に向けた準備のために政府が許可した「準備宿泊」をしている同県富岡町の男性はそう訴えました。

 富岡町は楢葉町とともに東京電力福島第2原発の立地自治体で、全域が避難区域。政府は4月1日に同町の帰還困難区域以外の避難指示を解除しようとしています。いわき市、郡山市を中心に約1万5千人の住民が避難しています。政府が避難指示を解除する予定の居住制限区域、避難指示解除準備区域の住民は9601人で町民の約7割を占めます。

  1ミリシーベルト上回る

 政府は住民説明会で避難指示解除に向けた取り組みを説明。さらに準備宿泊を行っている住民への調査で、放射線被ばく線量中央値が年間1・52ミリシーベルトと推定されると明らかにしました。政府が避難指示解除の目安としている年間20ミリシーベルトは下回りますが、除染活動目標の1ミリシーベルトを上回る数値です。

 農業を営んでいた渡辺幸一さん(64)は説明会後にこう語りました。

 「20ミリ―ベルとでも1ミリシーベルトでも、まあ年だし、おれはいいよ。問題は孫、その次の世代。そこを考えたら福島だけでなく日本の原発はなくさなくてはいけない。これだけははっきりしている」

 説明会では、▽第1、第2原発は安全といえるのか▽固定資産税や医療費減免は続くのか▽解除は時期尚早。インフラ整備がもっと進んでから▽アンケートなど住民合意が必要―など多くの意見が出ました。

JR常磐線富岡駅はエ事中。12月に竜田駅間で運転再開の予定。現在、駅のなごりはありません=1月、福島県富岡町

 帰還に向けて

 帰還に向けて複合商業施設「さくらモールとみおか」が3月末にオープン予定。昨年11月からホームセンターと飲食店1店、弁当店1店が先行オープンしています。

 午後2時ごろ、訪れると客はまばら。弁当店の店員の話では、昼どきを中心に復興事業の作業員を中心に1日200人を超す客が来るとのこと。

 食事をしていた町の女性(69)は話します。

 「避難前は畑もやっていたが、イノシシに荒らされるのであきらめている。買うとジャガイモ一つ50円くらいするのでばからしいけど。一番不便なのは医者。いわき市の病院まで行くので1時間以上かかる。家族もばらばらにされ原発はこりごりだ。原発再稼働を進める安倍首相はだめだね」

 

追加除染まだ必要 宮本皓一町長

宮本皓一町長

 避難指示解除は復興のスタートラインに立つということです。放射線被ばく線量を年間1ミリシーベルト以下にするための追加除染など、必要なことはまだまだあります。

 国は4月までの解除方針を出していますが、町にあった労働基準監督署、法務局、ハローワークなどの国の出先機関を町に戻す方針を示していない。この点では私たちに寄り添っているとは言えません。医療費無償化も1年ごとの措置で、長期の展望が見えず、町民に不安を与えています。

 県工事の防潮堤、県道整備もこれからで、災害公営住宅を建設するなど、曲田(まがた)地区を復興拠点とする町の計画と歩調がとれていない状況です。

 福島第2原発の廃炉は当然だと思います。町そのものが廃炉を提言することはしていませんが、6年の長期にわたる避難という苦難の中で、「どうぞ再稼働してください」という人は町民の中にはいないでしょう。

 東京電力福島第1原発事故による避難

 政府による避難指示はこれまで福島県の12市町村(広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町ヽ、双葉町、浪江町、葛尾村、田村市、南相馬市、川俣町、飯舘村)に出されました。 2016年末時点で、広野町、楢葉町、田村市、川内村では全域で避難指示が解除され、残る自治体で帰還困難区域(年間放射線積算線量

50ミリシーベルト)、居住制限区域(同20~50ミリシーベルト)、避難指示解除準備区域(同20ミリシーベルト以下)に分けられ、全域または一部で避難指示が続いています。

(「しんぶん」赤旗2017年2月11日より転載)