東京電力柏崎刈羽原発1~7号機(新潟県)など10の原子力施設で安全上重要な機器がある建屋に止水措置がされていない貫通部があり、外部から浸水する危険のあることが2月8日、分かりました。北陸電力志賀原発2号機(石川県)の原子炉建屋に雨水が流入し非常用電源がショートした問題を受け、原子力規制委員会が電力会社などに指示した調査の結果が、同日の規制委の定例会合で報告されました。
指摘されたのは柏崎刈羽原発のほか、東北電力女川原発2号機(宮城県)、東電福島第2原発1~4号機(福島県)、中部電力浜岡原発3~5号機(静岡県)、北陸電力志賀原発1、2号機(石川県)、中国電力島根原発1、2号機(島根県)、日本原子力発電敦賀原発1号機(福井県)、日本原子力研究開発機構高速増殖炉「もんじゅ」(同)、同東海再処理施設(茨城県)、日本原燃六ヶ所再処理施設(青森県)。うち福島第2と志賀、東海再処理の3施設は止水以外に、排水ポンプなどの浸水防止手段も取られていない貫通部がありました。
規制委は同日、これらの事業者に対し、貫通部の止水措置を速やかに実施するよう指示しました。また、3月8日までに実施計画の報告を求めています。
志賀原発2号機では昨年9月、大雨で原子炉建屋に雨水が約6・5トン流入。照明機器の電源盤がショートしました。今回の調査では、地下貫通部以外は、地表からどの高さまでの貫通部を確認するかは事業者判断になっています。すべて止水済みと報告された原発でも、地表から40センチの範囲を確認した原発もありますが、関西電力美浜原発では、地上から6センチまでが確認の範囲です。
再稼働した九州電力川内原発(鹿児島県)などは、措置が終わっているとして、今回の
調査対象になっていません。
関電「防止策を確認せず」・・高浜2号機クレーン倒壊
関西電力高浜原発(福井県高浜町)構内で工事に使う大型クレーンが倒れ、2号機の中央制御室などがある原子炉補助建屋の屋根の一部が変形、損傷した事故があった問題で、関電は2月8日、「転倒防止対策について確認していなかった」などとする報告書を原子力規制委員会に提出しました。
クレーンの倒壊は1月20日午後9時50分ごろ。1、2号機の格納容器上部を覆うドーム状の屋根を造る工事用の大型クレーン4台のうち、1台の全長約113メートルのクレーンアーム(重量約230トン)が倒れ、2号機原子炉補助建屋と燃料取り扱い建屋にもたれかかり、中間部が折れ曲がりました。
関電によると、事故前、元請け会社が瞬間風速毎秒約42メートルの風に耐えられると評価し、関電に報告。当時は、暴風警報が発令され、瞬間風速が毎秒40メートルを超える風が吹いていたと推定しています。
しかし、元請け会社は暴風警報発令を認識せずに対応をとらず、関電は警報発令を知ってはいたものの、転倒防止策について元請け会社に確認していなかったといいます。また、関電は、機材の落下などによる設備への影響について議論していなかったとしています。
川内原発事故時対処所など変更 審査書決定
原子力規制委員会は2月8日、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の事故時の対策拠点となる緊急時対処所などの計画変更についての審査書を正式に決定しました。昨年12月から行われた意見募集には148件の意見が寄せられました。
川内原発1、2号機は新規制基準に適合したとして一昨年、再稼働。その際、九電は免震構造の緊急時対策所を設置する計画を示し、地元にも説明していました。しかし、再稼働後の同12月に計画の撤回を表明。昨年3月、耐震構造の緊急時対策所を設置する申請を出してきました。
寄せられた意見には「免震棟なしでは緊急時の対策ができない」などがありました。
(「しんぶん」赤旗2017年2月9日より転載)