東京電力は1月30日、福島第1原発2号機の原子炉圧力容器の直下に初めて投入したカメラで、黒い堆積(たいせき)物を確認したと発表しました。東電によると堆積物は、装置の保温材などが溶け出したものであるほか、事故で圧力容器底部から溶け落ちた核燃料(デブリ)の可能性も考えられるとして、今後、分析を進めます。もしデブリと確認されれば事故後初めて。
今回は、小型ロボットの投入にむけた事前調査。カメラを取り付けたパイプを、原子炉格納容器の外側から挿入して撮影しました。
撮影したのは、圧力容器直下の作業用の空間。画像で、グレーチングと呼ばれる格子状の足場に、黒い物体を含めた厚さ数センチの堆積物が確認できました。また、足場がなくなっている箇所も見つかりました。
調査場所の上部にある制御棒駆動機構の装置は、撮影した範囲では、ほぼ原形をとどめているのが確認できました。
2号機は、デブリを冷却するため圧力容器内に毎時約4・5トン注水しており、圧力容器の底から抜け落ちていると思われる水滴が動画で確認できました。
東電は2月、自走式の小型ロボットを投入し、デブリの状況を本格調査する予定。今回、この足場が一部なくなっていることが分かったため、ロボット調査のルート変更を検討するといいます。
ロボットは投入時に全長約59センチで、カメラのほか線量計、温度計を搭載しています。
今回使ったカメラ付きパイプには線量計を付けておらず、撮影場所付近の線量は公表していません。映像のノイズから、線量を推計するといいます。事前調査では、ロボットが進入するレール上に障害物がある場合に備え、高圧水を噴射する装置を準備しています。大きな堆積物はなく、除去装置を投入しない可能性もあります。
東電によると、これまでの作業に伴う外部への放射線の影響はないといいます。
事故発生から6年近く、これまでデブリの位置や状況についてはほとんど分かっておらず、ようやく一歩前進したといえます。一方、1、3号機と比べて核燃料が圧力容器に多く残っているとみられる2号機で、作業用の足場の一部がなくなっている箇所が見つかったことなど、今後の廃炉作業の困難さも予想されます。
(「しんぶん赤旗」2017年1月31日より転載)