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福島第1 核燃料取り出し再延期・・3号機プール想定の甘さ露呈

「18年度中頃」に

 政府と東京電力は1月26日、福島第1原発3号機の使用済み燃料プールからの核燃料取り出し開始目標時期について、従来の2018年1月を断念し、「18年度中頃」に延期すると

発表しました。3号機プールの燃料搬出延期は2回目で、想定の甘さが改めて露呈されま

した。

 東電などによると、3号機プールでは放射線量低減の作業や、がれき撤去に使うクレーンなどの機器の不具合によって遅れが発生していました。燃料取り出しの完了時期も未定といい、作業の先行きは見通せない状況が続きます。

 3号機プールからの燃料取り出し作業では現在、建屋上部にカバーを設置するための準備が行われています。最終的に設置が完了するのは18年度となるため、取り出し開始時期も同年度中頃へと先送りしました。

 3号機プールの核燃料は使用済み514体、末使用52体。当初は15年度上半期に取り出しを始める予定だったが作業が遅れ、政府と東電は15年6月に廃炉工程を見直し、18年1月へ延期すると発表していました。

 3号機では原子炉の核燃料が溶け落ちており、取り出しの難航は確実。事故発生直後の水素爆発によって建屋も大破しています。

 15年6月に見直した政府と東電の廃炉工程をめぐっては、放射能汚染水保管用タンクについても、漏れやすい簡易型の使用を16年度早期にやめる予定でしたが、代替の溶接型の建造が追い付かず実現を断念しています。

 

福島第1「凍土壁」1カ所除き全面凍結へ

 東京電力は1月27日、福島第1原発の1~4号機周囲の地盤を凍らせる「凍土壁」(陸側遮氷壁)について、計画的に未凍結にしている山側5ヵ所(計約32メートル)のうち4ヵ所(計約25メートル)を凍らせる計画を示しました。原子力規制委員会の検討会で明らかにしました。規制委は認可する方針です。時期は未定。

 実施すれば、総延長約1500メートルのうち未凍結箇所は2、3号機の西側1力所(約7

メートル)だけになります。未凍結箇所を残すのは、建屋地下に滞留する高濃度汚染水が外部に流出するのを防ぐため、地下水位を建屋内水位より高く保つ必要があるからです。

 水位の逆転を懸念する規制委員は、「陸側遮氷壁の効果が、山側でだけ過剰に表れることを恐れている」と述べました。

 一方、凍土壁海側について東電は、護岸の井戸からくみ上げる地下水量が24日までの1月の平均で1日当たり約139トンに減少したと報告。昨年10月に「完全凍結」したとする凍土壁海側の効果として、護岸の井戸からくみ上げる地下水量が1日当たり約70~10

Oトンまで減ると見込んでいました。

(「しんぶん」赤旗2017年1月28日より転載)