2017年度のエネルギー関連予算案は、東京電力福島第1原発事故の国や東電の責任をあいまいにし、際限ない国民負担に道を開こうとしています。
核燃サイクル破綻後も固執
除染費用は、東電が全額負担するという原則を投げ捨て、帰還困難区域の除染費用として309億円を盛り込みました。環境の原状回復費用は、汚染者が負担するという大原則に反するものです。
安倍政権が16年12月に策定した「福島復興指針」に基づき、原子力損害賠償・廃炉等支援機構への交付国債発行限度額を9兆円から13・5兆円に増額。17年度の支援機構への交付金を16年度比120億円増の470億円に増やします。
廃炉を決めた高速増殖炉「もんじゅ」の維持・管理に179億円を計上。フランスが実施している高速炉研究の委託研究費として52億円を盛り込み、破たんが明らかな核燃料サイクル構想にしがみついています。
途上国を中心に今後も原発需要が高まるとして、「海外におけるウラン探鉱支援事業費補助金」にも3億円を計上しています。
世界が脱化石燃料に進む中、「石油・天然ガス、石炭の権益確保を推進」するとして、16年度比44億円増の762億円を計上。メタンハイドレートの研究開発等委託費として新規に242億円を盛り込みました。「先進的な火力発電技術等の海外展開推進事業」にも新規に16・6億円を計上。地球温暖化対策に逆行する姿勢に、環境団体は批判を強めています。
中小企業対策費として、16年度比0・8%減の1810億円を計上しました。一般歳出に占める割合はわずか0・3%と、史上最低を更新しています。
小規模事業者の命綱である日本政策金融公庫の低利融資や、信用保証協会を通じた債務保証など、資金繰り支援のための予算が16年度比で3・8%減の950億3000万円に
なりました。
東日本大震災で被災した中小企業への予算も減額されています。施設の復旧・整備にかかる費用のうち、75%を上限として国や県から補助を受けられる「グループ補助金」は、
28%減の210億円になりました。
小規模事業者の経営支援や販路開拓などを手助けする小規模事業対策推進事業は、4・3%減の49億円に削られました。
経営者の高齢化などに対応するための事業引き継ぎ支援事業に4・6%増の61億円。取引の適正化を図るための対策事業として40%増の13億9000万円を計上しています。
14年には、日本企業の99%を占める雇用の7割を支える小規模企業の「持続的発展」を位置付けた小規模企業振興基本法が制定されています。しかし、予算はその趣旨に見合う内容になっていません。
(つづく)
(「しんぶん」赤旗2017年1月19日より転載)