原子力規制委員会は1月18日、九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)が新規制基準に適合しているとする審査書を決定し、九電の設置変更申請を許可しました。規制委が設置変更許可を出したのは、5原発10基目。
再稼働にはさらに、機器や設備の詳細設計などを記した工事計画の認可や事故対応手順などを定めた保安規定の変更認可が必要となります。
規制委は昨年11月に、玄海原発3、4号機の審査書案を取りまとめ、意見募集を行いました。4200件の意見が寄せられました。
寄せられた意見には、昨年4月の熊本地震を受けて、繰り返し地震を想定するよう耐震基準の見直しを求めるものなどがありましたが、規制委は「直ちに見直す必要があるとの知見は得られていない」とし、審査書案からの変更は、語句の修正にとどまりました。
玄海原発は、玄界灘に面し、事故に備え住民の避難計画が必要な半径30キロ圏には7市1町、佐賀、福岡、長崎の3県にまたがります。さらに17の離島に約2万人が暮らします。船舶などを使った避難には、悪天候で避難できずに孤立するなどの課題が残ります。
玄海原発3、4号機が再稼働すると5年ほどで使用済み核燃料プールが満杯になります。
九電は、2010年にプール内の燃料の間隔を狭めて容量を増やす(リラッキング)計画を申請しています。旧基準に基づく申請のため審査を行うためには、補正か再提出が必要。田中俊一委員長は、これまでプールの容量を増やすことには安全上の疑問を示してきましたが、この日の会合では「(審査の際には)リラッキングの是非を含めてきちっとやっていただく」と述べるにとどまりました。
(「しんぶん赤旗」2017年1月19日より転載)