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“検証 原発避難計画” 大飯・高浜・・県外避難先、多くが未定

14-01-27fukui 全国最多の原発(商業原発13基と高速増殖炉「もんじゅ」など)が立地する福井県。原子力規制委員会では、関西電力の大飯原発3、4号機(同県おおい町)と高浜原発3、4号機(同県高浜町)の再稼働に向けた、新規制基準への適合性審査が進んでいます。八木誠・関電社長は「夏までに動かさせて」とけしかけます。しかし、これで住民の安全が置き去りとなることは、昨年(2013年)改定された県原子力防災計画の住民避難計画の不備をみても明らかです。
(福井県・山内巧)

昨年7月に改定された福井県原子力防災計画は「想定される全ての事態」や「たとえ不測の事態が発生した場合」も対処し得るよう体制を整備するとしています。しかし、住民避難計画をみても、東京電力福島第1原発事故の教訓は徹底されておらず、住民からも実効性を危ぶむ声が相次いでいます。

石川県だけ

改定により、原発からおおむね30キロ圏が原子力災害対策を重点的に実施すべき区域となりました。5キロ圏は、原子炉の冷却機能がすべて失われる緊急事態で全員避難となり、5~30キロ圏は、大気中放射線量の実測値に基づいて国が範囲を定め、屋内退避(1時間当たり20マイクロシーベルト未満)や即時避難(同500マイクロシーベルト以上)などを実施します。30キロ圏住民の避難先は、県内のほか、兵庫、奈良、石川の各県となりました。県外で避難施設まで決まったのは石川県だけです。

海水浴客も

大飯原発の5キロ圏には1000人余、30キロ圏には約14万人、高浜原発は5キロ圏に4400人余、30キロ圏に約18万人が住んでいます。避難手段はバスや船、自衛隊車両なども動員されますが、マイカーが基本です。避難先は、県内では敦賀市、県外は兵庫県です。県内の避難経路は限られ、渋滞は必至で、冬には積雪、夏には県内外からの海水浴客を想定しなければなりません。避難経路は未定です。

甲状腺被ばくを防ぐための安定ヨウ素剤の事前配布対象は、5キロ圏と、5キロ圏外の必要と判断された住民だけです。5キロ圏外では避難経路沿いの施設で配布する計画ですが、経路が未定のため、配布場所も未定です。

県は昨年6月、国の「重点提案・要望書」で①原発事故の初動対応で人員や重機を輸送するための「原子力災害制圧道路」を早期整備する財政支援②幹線道路網が大規模地震や異常気象の際に寸断されない強化策③県外避難の経路や手段、避難先への迅速な物資調達体制などの整備④乳幼児が迅速に服用できる安定ヨウ素剤の開発・製造・・などを求めました。

教訓徹底を

日本共産党の佐藤正雄県議会議員は昨年の9月議会で「住民の手元にヨウ素剤を配備しておく体制が求められる」と質問。担当部長は、事前配布・保管の方法や、副作用などの課題で国の指針では「具体的な配布条件の記載が不十分」と答え、現在も解決されていません。

県や市町の教育委員会も、幼稚園や小中高校、特別支援学校の児童・生徒の安全を確保するための避難計画を作成するとなっていますが、県によれば「作成中」です。

佐藤県議は「こんな不十分な避難計画の状態で、再稼働など論外です。被害が50キロ圏外にもおよんだ福島原発事故をふまえるならば、全県域を原子力災害対策重点区域とするのが当然であり、ヨウ素剤も全県域で家庭と施設などに重複配備すべきです」と話しています。

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