東京電力福島第1原発の放射能汚染水対策として1~4号機周囲の地盤を凍らせる「凍土壁」(陸側遮氷壁)について、原子力規制委員会の検討会は12月26日、計画的に未凍結にしている山側5ヵ所を段階的に凍らせ全面凍結に向けた議論をする考えを示しました。
建屋周囲の地下水位が激減した場合に建屋内の汚染水が漏れ出す危険性があるため、規制委と東電は凍土壁の山側の全面凍結には慎重な姿勢でした。
しかし、同日、東電が示した凍土壁の海側の遮水効果は、期待したものではないと規制委が判断。山側を全面凍結しても、地下水位が激減する可能性は低いとみています。
東電によると、12月20日に護岸の井戸からくみ上げた地下水量は、これまでで最も少ない約134トン。減少の要因について東電は、凍土壁による遮水効果のほか、雨水の浸透を防止する敷地の舗装や、建屋周囲の井戸からの地下水くみ上げなど複合効果だとしています。
東電は当初、凍土壁海側の効果として、護岸の井戸からくみ上げる地下水量が、1日当たり70~100トンに減少することを目標としていました。
一方、東電は、1号機タービン建屋の復水器にたまっていた極めて高濃度の放射能汚染水を希釈してくみ上げる作業について、放射性物質量が約30分の1まで減少したと報告しました。
初歩的なミスが重なったと陳謝・・志賀原発雨水流入
北陸電力志賀原発2号機(石川県)の原子炉建屋に雨水が流入した問題で、同社は12月26日、浸水状況の確認などで、リスク管理が不十分だったとする最終報告書を原子力規制委員会に提出しました。西野彰純副社長は記者会見し、「初歩的なミスが重なった。非常に重く受け止めている」と陳謝しました。
報告書は、工事のケーブルを通すために空けた穴が、浸水経路にあったと指摘。穴の情報が部署間で共有されず、隙間を埋める対策を取っていませんでした。原子炉建屋につながるトレンチ(ケーブルなどの地下通路)の浸水状況について、当直職員の確認が不十分だったことや、建屋とトレンチの接続部分が密閉されていなかったことなども重なり、浸水が起きたと結論付けました。
北陸電は再発防止対策として、現在の原発担当から独立した新しい監視部署を設置するとしています。
(「しんぶん」赤旗2016年12月28日より転載)