日本共産党第27回党大会決議案は「『原発ゼロ』の決断と一体に、再生可能エネルギーの飛躍的普及をはかる」と述べています。再生可能エネルギーはいまどうなっているのか、日本と世界の状況を見てみました。
再稼働を許さない世論
東日本大震災以降、日本のエネルギー事情は大きく変化しました。
再稼働を許さない運動と世論で2014年は年間通して「原発ゼロ」になりました。地域ごとに見れば首都圏を含む東京電力管内は5年半以上も「原発ゼロ」です。それでも電気は足りています。
この間、原発の発電量は減り、再エネが増え、省エネが進みました。(表)
10年度には発電量の25%を占めていた原発はわずか1%になる一方、再エネは12年に導入された「固定価格買取制度」が後押しになり8%から13%に。13年度以降、太陽光の発電量が原発の発電量を上回っています。
省エネも進んでいます。経済産業省は11月、15年度の最終エネルギー消費が「5年連続減少した」と発表しました。総発電量はこの5年で1割強(1328億キロワット時)も減っています。
その変化を電力量に置き換えてみると、省エネは原発約22基分。再エネによる発電量増加は約6基分にあたります。(原発の発電能力100万キロワット・稼働率約7割で1基あたり年間発電量を約61億キロワット時と想定して計算)
九電管内 一時7割供給
「再エネが増えると天気まかせで不安定になる」「もっと多くの送電網が必要になる」-。そんな声が根強くあります。
再エネの割合は、いま約13%です。しかしこの5月ひと月は、日本全国で平均2割を超えました。
特に九州電力管内では5月4日午後1時、太陽光と風力だけで66%(キロワット・発電出力ベース)の電力供給を達成しました。WWFジャパンによれば、地熱や水力など他の再エネも加えると78%(同)に達しました。その際、電力会社は需給を調整し、大きな混乱も起きませんでした。
太陽光が発電する昼間は、火力発電を抑え、以前は原発の電気の調整に使われた「揚水発電」(電気が余る時間帯に水を高地に上げ、電気が足りない時に下に落として発電する)で電気をためました。日が暮れると火力をたき増しし、揚水発電を使って電気を供給しました。
政府は再エネの目標を「2030年に22~24%」としていますが、この経験は今の設備でも「22~24%」は可能で、さらに目標の引き上げが可能なことを示しています。
コスト高い 通用しない
国際エネルギー機関は10月、世界の再生可能エネルギーの導入量が15年に過去最大となったと報告しました。
元立命館大学教授の和田武さんは「再エネの発電量は21世紀に入って急激に増え、原発を大きく引き離し、2倍を超えている」と指摘します。(グラフ)
和田さんは特に途上国での伸びが目覚ましいといいます。途上国では経済発展のためのエネルギーを化石燃料よりも新技術を使った再エネ利用に転換しつつあるというのです。
アフリカでは、2030年に3億キロワット以上の増加を目指すアフリカ再生可能エネルギーイニシアチブ(AREI)を推進し、再エネ100%を目指す動きも世界各地に広かっています。
IKEA(スウェーデン生まれの家具量販メーカー)やマイクロソフトなど自社で使う電力を「再エネ100%」に約束する企業も生まれています。
背景の一つは、再エネのコストダウンがあります。
日本では先日、原発事故の廃炉や賠償、除染などの費用が当初の予想より倍増の約22兆円に膨らむことが明らかになったばかり。
〝再エネは高く、原発は安い″はもはや通用しません。
2030年までに再エネ目標4割へ
党大会決議案は再エネの目標を日本でも「2030年までに電力需要の4割」にすることを提唱しています。
日本は、太陽光や風、水、森林など再エネの資源が豊かな国です。国産エネルギーである再エネを増やせば、国内で雇用が生まれ、エネルギー自給率は向上し、「核のゴミ」など将来世代につけを回すこともありません。この道が「真に未来ある道」(決議案)であることは明らかです。(おわり)
(「しんぶん」赤旗2016年12月19日より転載)