経済産業省は12月14日、東京電力の「経営改革」などを検討する非公開の有識者会議「東京電力改革・1F回題委員会」(東電委員会)を開き、東電に送配電事業や原子力で他社との共同事業体を早期に設立するよう求める提言案を示しました。東電は同会議で、2020年代初頭に送配電事業で他社との共同事業体を設けるため、来年から協議に入る考えを示しました。21・5兆円とされる福島第1原発の事故費用を国民負担に転嫁する方向は変わりません。
提言案は、福島第1原発の廃炉や損害賠償、除染の総額について、3年前に想定した額の2倍、約21・5兆円と見込み、東電に資金援助するために交付国債枠を現在の9兆円から13・5兆円に拡大するとしています。5・4兆円から7・9兆円に増える賠償費用は「事故前に確保されていなかった賠償の備え」との理屈で、原発を持たない新電力を含め全国の消費者(沖縄を除く)の電気料金に上乗せし、2・4兆円を40年かけて徴収するとしました。
8兆円に膨らむ廃炉費用は、東電の送配電事業の利益を優先的に充てるといい、本来、利益は料金値下げに回すことになっており、東電管内の消費者にとっては料金が高止まる可能性があります。
また、東電の収益を現在の年間4000億円から5000億円規模に増やし、企業価値を向上させて東電株の売却益が4兆円になることが必要だとして、新潟県にある柏崎刈羽原発の再稼働を実現するとしています。
(「しんぶん」赤旗2016年12月16日より転載)