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被災者先頭に扉押し開く、国・県に支援拡大求める・・宮城被災者の医療費免除再開

14-01-29gura東日本大震災で住宅を全半壊するなどした被災者の医療費(窓口負担)と介護保険サービス利用料の免除を、2013年(昨年)3月末で打ち切った宮城県内で、今年4月からの医療費の免除再開を表明する自治体が相次いでいます。被災者を先頭にした運動が、免除再開の扉を押し開きはじめています。
(佐藤幸治)

免除が打ち切られた昨年4月以降、宮城県内では、国保に加入する被災者も、75歳以上の後期高齢者医療制度に加入する被災者も、医療費が震災前に戻りました(3割負担。70歳以上は所得に応じ1割負担)。介護の利用料も1割負担に戻りました。

免除を県内全域で続けている岩手県、一部地域とはいえ免除を続けている福島県とは大違いです。

受診抑制広がる

仙台市若林区の仮設住宅で65歳の妻と暮らす70歳の男性。妻が糖尿病でインスリンが欠かせません。他にも持病があり、月に約2万円の医療費が掛かります。

男性自身も、首、腰、左足に慢性的な痛みがあり、ひどいときには「ガクンとなり、しばらく動けなくなる」といいます。しかし、病院に行くのは月に1回、高血圧を診てもらう時だけです。

「医療費が免除されていた時は、痛みが出たら病院に行っていたが、今は腰が重く感じ始めたら湿布を貼って、さらしを巻いてがまんしている」と話します。

同じ仮設住宅に住む57歳の女性は乳がんを患っています。先月までホルモン治療で様子を見ていましたが、今月から抗がん剤治療になりました。週一回で2万円以上かかり、心臓も悪く、以前から月1回通院。医療費は月に8万円を超えそうです。「治療をやめるわけにもいかない。(治療費のことは)考えたくない」と顔をしかめます。収入は夫の月約6万円の年金のみで、いまも貯金をとり崩して生活しているといいます。

県の資料でも、免除打ち切りによる被災者の受診抑制は歴然としています。(グラフ)

資料を分析した、復旧・復興支援みやぎ県民センター世話人の水戸部秀利さん(医師)は、「沿岸部の被災自治体では、打ち切り直前に駆け込み受診があり、打ち切り後の13年4月に急激に落ち込んだ後、回復していません。変化がほとんどない内陸に比べても、被災者の受診抑制は明らかです」と説明します。

同センターは免除復活・再開を求めて運動を続けてきました。

要求が国動かす

日本共産党は、県議会をはじめ各地方議会で免除の復活・再開を要求。国会でも繰り返し取り上げてきました。

そして、昨年末、重要な動きがありました。厚生労働省は、震災後に医療費が3%以上増加した市町村に、負担増加分の80%を交付金で支援してきたものを、4月から増加率に応じて最大95%まで交付金を引き上げる拡充策を示しました。村井嘉浩知事は、増額される交付金を、医療費免除再開に充てるよう市町村に要請したのです。

これを受け、年明け以降、石巻市、気仙沼市、女川町など、免除再開を検討する自治体も出てきました。

しかし、各自治体を悩ませているのは、国からの支援拡大が、免除再開に必要な額と比べ少なすぎることです。

仙台市の健康福祉局は、日本共産党市議団に「国保加入者に限っても、免除再開に必要な15億円に対し、国から増額されるのは約5億円」と説明しました。必要額の3分の1です。

財政支援が必要

このため、免除対象を「限定」し、新たな線引きをせざるをえないことに苦慮し、周辺自治体との格差が生まれることを心配しています。

村井知事は、市町村に免除再開を要請しながら、市町村に責任を丸投げし、県として独自に財政支援することには背を向けています。

20日、県内の仮設住宅自治会・町内会長有志が県知事あてに緊急に申し入れました。

県が積極的に財政支援と市町村との調整に乗り出すこと、後期高齢者の医療費、介護利用料についても免除を再開できるよう、県の支援を求めました。

申し入れ書を手渡した、あすと長町仮設住宅自治会長の飯塚正広さん(52)はいいます。

「震災からまもなく3年。被災者は、長引く避難生活のなかで、ストレスと運動不足などから病気がちになり、医療と介護を必要としています。被災者にとって医療・介護の負担免除はまさに『命綱』です。昨年4月からの免除打ち切り後、被災者の命を削る一日一日が続いているのだということを、県にはわかってほしい」

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