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“東電福島第1 凍土壁”遮水効果 表れぬまま凍結範囲を拡大・・地下水位の管理が課題

img_20161207_0001 東京電力福島第1原発の放射能汚染水対策として1~4号機周囲の地盤を凍らせる「凍土壁」(陸側遮氷壁、総延長約1500メートル)で、計画的に末凍結にしていた山側7ヵ所(計45メートル)のうち2ヵ所の凍結を始めました。地下水の流れを「コントロール」できず、遮本効果が表れないまま、新たな段階に進むことになりました。(唐沢俊治)

 東電は12月3日、1、4号機西側にあたる2ヵ所、計13メートルの凍結を開始しました。

 凍土壁の最大の課題は、建屋地下に滞留する高濃度汚染水が外部に流出するのを防ぐため、地下水位を建屋内水位より高く保つことです。7ヵ所全て凍結すると、建屋周囲の地下水星が激減する危険性があるため、2ヵ所を先行して凍結することにしました。

 凍土壁は今年3月末から段階的に凍らせ、東電は10月、「海側か完全凍結」と発表しました。しかし、凍土壁海側の遮水効果として、護岸の井戸からの地下水くみ上げ量が1日当たり約70~100トンに減少するという目標は達成されていません。8~9月の台風によ

る大雨で地下水位が上昇した影響が長引いたため、凍土壁の評価が出されていません。

 東電は、7ヵ所を除く山側の凍結で、建屋周囲に流れ込む地下水星が半減すると見込んでいました。しかし、建屋に直接流れ込む地下水量は、1日当たりおおむね200トン前後で推移し、大きな変化は見られません。

 一方、護岸でくみ上げて除染処理できない汚染地下水は建屋に同100トン移送。合計で1日当たり約300トンの汚染水が発生する状態が続いています。

 凍土壁の遮水効果をめぐり、これまでの原子力規制委員会の検討会では、委員や外部専門家から「期待しない」「破たんしている」などの声が上がっていました。

(「しんぶん」赤旗2016年12月7日より転載)