日本共産党嶺南地区委員会 > しんぶん赤旗 > 「原子力も他社と提携」・・経産省が有識者委 東電改革で提言

「原子力も他社と提携」・・経産省が有識者委 東電改革で提言

 経済産業省は12月5日、有識者らで構成する非公開の「東京電力改革・IF(福島第1原発)問題委員会」を開きました。東京電力ホールディングス(HD)の改革案について、二社対応では限界」などとして、柏崎刈羽原発など原子力をはじめ送配電を含む全事業で、他社との統合・提携を実現させるとする方針を示しました。

 東電HDは現在、国が議決権で半数を超える株式を保有し、実質国有化の状態。方針は、福島第1原発事故の対応は国が長期的に関与を続ける一方、経済事業では早期自立を促しています。今後、年内の提言取りまとめに向け詰めの検討を進めるといいます。

 委員会は、同社が中部電力と共同で設立した燃料・火力事業会社JERAの取り組みを、送配電、原子力事業の海外展開などにも拡大することを確認しました。

 また、廃炉と賠償の費用は東電の毎年の収益から、除染は企業価値向上によって捻出。廃炉については、積立金制度の創設のほか、送配電事業のコスト削減分を廃炉に優先的に当てる仕組みも検討するとしました。

 賠償費用については、東電を含む原発事業者が負担する現行の仕組みだけでなく、4月の電力小売り全面自由化で参入した新電力にも負担させる方針も打ち出しました。

原発電気を新電力に・・経産省部会 再稼働後押し議論

 原発の電気を使わせる仕組みなどを検討している経済産業省の「市場整備」作業部会が12月5日、開かれました。原発や石炭火力などの電気を、新規に参入した電気事業者(「新電力」)に供給する「ベースロード電源市場」創設について、事務局は2020年度をめどに新電力が需要の3割を賄う量を大手電力が提供する案を示しました。

 経産省は市場の創設について「事業者間競争の活性化」をうたっていますが、2030年度の発電電力量のうち20~22%を原発で賄うという政府の方針を進め、原発の再稼働を後押しするものです。

 作業部会は、原子力や再生可能エネルギーなどの「非化石電源」の比率を高めるためとして、火力発電以外の非化石電源の「環境価値」を電気と切り離し、「非化石証書」として取引する「非化石価値取引市場」創設なども提案しています。

 事務局は、9日に「中間とりまとめ」案を示すとしています。

(「しんぶん」赤旗2016年12月6日より転載)