東京電力福島第1原発3号機原子炉で溶けた核燃料(デブリ)を冷却するための注水が12月5日午前10時すぎから約1時間にわたって停止しました。別の注水ポンプで注水を再開しました。東電が同日、発表しました。
東電は、注水停止からしばらく事態を把握できず、自治体などに通報が必要な重大事態だと判断したのは約30分後でした。
原因について東電は、4号機タービン建屋で点検中の作業員がよろめき、注水ポンプのスイッチにひじをぶつけたとしています。
3号機では毎時4・2トン注水していました。東電によると、原子炉への注水は、2013年に瞬間的に止まったことがあるものの、長時間の停止は今回が初めて。再開が約1時間後となったことについて「現場の安全を確認するまで時間がかかった」と説明しています。
東電は、注水が止まった場合、原子炉底部の温度が最大で1時間当たり5・3度上昇すると推定。今回、注水停止時は23・1度で、再開後も変化しておらず、3号機では溶け落ちた核燃料が圧力容器内にほとんど残っていない可能性があるとの見方を示しています。
同原発では4日夜にも1~3号機の使用済み核燃料プールの2次冷却系の設備で警報が発生し停止。閉まっているべき弁が開いており、作業員が誤って接触したとみられます。
記者会見で広報担当者は「たて続けのトラブルを厳粛に受け止め、心配と不安を与えたことを深くおわびしたい」と述べました。
(「しんぶん赤旗」2016年12月6日より転載)