東京電力福島第1原発事故の賠償費用や廃炉費用を電力自由化で新たに参入した電気事業者(「新電力」)にも負担させる検討をしている経済産業省の「財務・会計」作業部会が11月29日、開かれました。
賠償費用は事故を起こした事業者が負担し、廃炉費用も原発を持つ事業者が負担すべきです。しかし、費用が膨らむからと、「新電力」などにも負担させようとしています。
同日は、福島原発事故の賠償費用の負担のあり方を議論。現在は、東電をはじめ原発を持つ電力会社など11事業者が年間1630億円(2015年)を負担し、電気料金に上乗せされています。
経産省の事務局は、福島原発事故以前も賠償の備えが必要だった(「過去分」)などと、原発に頼りたくないと「新電力」を選んだ利用者にも負担を求める理屈を持ち出しています。その上で、大手電力会社が持つ送電線を使う時に支払う「託送料金」に上乗せする論点を示し、新電力にも負担させようとしています。送配電網の維持・運用に要する費用を回収する託送料金に、賠償などの発電費用を上乗せするのは原発優遇策です。
福島事故の廃炉費用の負担で同事務局は、東電の送配電子会社の「超過利潤」(利用者への料金値下げ分)を充てる案などを提示しています。委員からは、事故炉の費用を託送料金で回収することは「納得できない」と反対する意見がありました。また、「費用総額が示されないまま、託送料金への転嫁ありきで議論を進めるべきではない」とする意見表明もありました。
(「しんぶん」赤旗2016年11月30日より転載)