東京電力福島第1原発の事故対応などに従事した後、白血病を発症して労災認定を受けた北九州市の元作業員の男性(42)が11月22日、東電と九州電力に計約5900万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしました。原告側弁護士によると、原発事故の対応に携わり、労災認定を受けた元作業員が提訴したのは初めて。
訴状によると、男性は2011年10月~13年12月、2次下請けの作業員として福島第1、第2原発や九電玄海原発で溶接などを担当。累積被ばく線量は約19・8ミリシーベルトに上りました。
このうち福島第1原発では、4号機燃料プール周辺でのカバー設置作業などに当たり、被ばく線量は約15・5ミリシーベルトだったといいます。
体調不良から医療機関を受診し、14年1月に急性骨髄性白血病と診断され入院。死への恐怖からうつ病の診断も受けました。昨年10月に白血病で、今年5月にうつ病でも労災認定されました。
男性側は、発症は高線量の被ばくが原因だとした上で、「東電や九電は安全対策を怠り、無用で過大な被ばくをさせた」と主張しています。
東京電力と九州電力は「訴状が送達され次第、適切に対処する」などとコメントしました。
(「しんぶん」赤旗2016年11月24日より転載)