昨年の世界平均気温は初めて産業革命前よりも1度上昇し、5年平均気温も観測史上最高だった―。世界気象機関(WMO)が2011~15年の気候変動について分析した報告書を、モロッコのマラケシュで開かれている国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP22)に提出しました。多くの異常現象が人間活動によって引き起こされていることも、より明確になったとしています。
ペッテリ・ターラスWMO事務局長は「昨年の記録も2016年には破られそうだ」と述べるとともに、「1980年代から、気候変動の影響は地球規模でどんどん目に見えるようになってきた。熱波や干ばつ、記録的大雨や洪水など異常現象のリスクは増えている」としています。
報告書によると、11~15年の5年平均気温は、1961~90年の平均と比べて0・57度上昇。北極域の海氷は縮小を続けており、81~2010年の平均よりも面積が28%も小さくなりました。海面上昇は、93年から現在までの衛星観測によると1年当たり3ミリメートルで、1900~2010年までの潮位計による同1・7ミリメートルと比較して速いペースで進んでいます。
地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」では、産業革命後の世界の気温上昇幅を2度未満に抑えるとしています。
(「しんぶん」赤旗2016年11月17日より転載)