電力の4分の3を原発に依存するフランスで今冬、厳しい電力事情に迫られています。仏電力公社(EDF)の送電部門会社(RTE)はこのほど、同国にある58基の原発のうち、約3分の1の老朽化原発を安全点検のために停止することから、昨年同時期よりも1000万キロワット電力供給が低下すると発表しました。ロイター通信などが報じました。
RTEは電力輸入の拡大をはじめ、大企業に対し工場の機械の一時停止や使用抑制を要求。フランスでは3分の1の家庭が暖房を電気に頼っており、地域によっては短時間の停電もありうるとしています。RTEによると、とくに12月の最初の3週間が厳しい状況です。フランスは例年は電力輸出国ですが、今年は700万~900万キロワットの輸入が必要と見積もられています。
同国では昨年、北西部フラマンビルで原発メーカー「アレバ社」がつくった欧州型加圧水型原発(EPR)の鉄製部分に脆弱(ぜいじゃく)性が見つかりました。原子力安全局は今年5月、アレバ製同型原発18基で同様の異常が発見されたと明らかにしました。
同国の原発はアレバ社主導でつくられ、どの原発も構造が似ています。早くて、安く建設できるというのがうたい文句ですが、ひとたび一つの原子炉で不具合や問題が起きると、ほかの多くの原子炉で同様の回題が出て、処理が追いつかなくなると環境活動家は警告しています。
原発大国のフランスでも近年、原発反対の動きが活発化しています。今年はフラマンビルの原発建設や老朽原発フェッセンハイムの廃炉を求めるデモが行
われました。
そんな状況にもかかわらず、EDFと仏政府は原発セールスを進め、英国のヒンクリーポイント原発建設の承認を得ています。これに対し、仏英両国内から批判が出ています。
(片岡正明)
(「しんぶん」赤旗2016年11月17日より転載)