原発の廃炉や賠償の負担のあり方を検討する経済産業省の作業部会は11月2日、大手電力会社の原発の廃炉費用(東京電力福島第1原発を除く)を新電力にも負担させる新制度案を示しました。原発に頼りたくないと新電力を選んだ利用者にも転嫁される可能性があります。
もともと原発の廃炉費用は大手電力会社が負担し、電気料金に上乗せして回収してきました。
案では、早期に廃炉を決めた原発を対象に、大手電力が持つ送電線を使う時に払う「託送料金」で廃炉費用を回収するとして、新電力と大手電力会社が負担することになります。現時点で関西電力美浜原発1、2号機(福井県)、九州電力玄海原発1号機(佐賀県)など6基が対象。
同日開かれた有識者会議では、委員の一人から「廃炉費用を託送料金で負担させるのは間違っている」と反対する意見がありました。
また、東京電力福島第1原発の廃炉費用について同省は、東京ホールディングスの送配電子会社「東電パワーグリッド」の託送収支で得られた利益を積み立て廃炉費用に充てる提案も示しました。送配電会社が「超過利潤」を得た場合は、利用者に還元することになっています。
委員から「送配電事業の安全面の投資に懸念材料がある」「東電の託送料金だけが高止まりする」などの意見や、廃炉・賠償費用の作業部会で議論するのは「重すぎる。国会などで話し合うべきだ」とする意見が出されました。
(「しんぶん赤旗」2016年11月3日より転載)