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“もんじゅと核燃料サイクル”早期に断念を③・・開発はメーカー丸投げ/旧動燃からの体質

床に積もったナトリウム化合物を調べる職員ら(上部は焼損したダクト配管)=1995年12月12日、福井県敦賀市の「もんじゅ」二次冷却系配管室
床に積もったナトリウム化合物を調べる職員ら(上部は焼損したダクト配管)=1995年12月12日、福井県敦賀市の「もんじゅ」二次冷却系配管室

 高速増殖炉「もんじゅ」は、稼働は延べ250日、本格運転にも至っていません。

  予算1兆円超

 日本原子力研究開発機構に二つある労働組合の一つ原研労組の元委員長で、日本共産党那珂市議の花島進氏は「原子力機構も文部科学省も国民への説明責任を果たしていません。1兆円超の予算を投入してきた国家プロジェクトの何が失敗で何が得られたのか、総括すべきです」と指摘します。

 もんじゅを設計、建設した旧動力炉・核燃料開発事業団(動燃)は、改組を経て、2005年には旧日本原子力研究所と合併し、日本原子力研究開発機構になりました。

 もんじゅは10年に運転を再開したものの、3ヵ月後、炉内に機器を落下。その後も、約1万件の機器点検漏れ、警報の放置などが発覚します。花島氏は「なぜ低レベルの問題が繰り返されるのか? それは技術レベルが低いからです。高速増殖炉という難しいものを扱うのに、それに対応する技術の向上を図ることなく、伝票を切って、下請けにやらせてきたからです」と、動燃時代からの体質を説明します。

 旧動燃は、事故や事故隠しを繰り返し、安全軽視、隠蔽(いんぺい)体質が問題にされました。さらに、メーカーなどに国費を垂れ流すトンネル組織であり、メーカー丸投げの開発姿勢から、技術的な能力にも問題があると指摘されていました。

  批判者を抑圧

 現在、旧動燃で職員だった4人が、現在の原子力機構を相手取って、差別是正を求めて訴訟を起こしています。

 動燃では、安全性などの問題を指摘した職員を「反原発」「アカ」などとレッテル貼りして差別。差別的な処遇だけでなく、結婚式への出席まで妨害。“モノ言えぬ職場”をつくってきました。

 花島氏は、「動燃では原子力は完成された技術として計画推進が第一とされていました。だから、批判的なことをいう人物を抑圧し、開発が推し進められました」と説明します。

 原告団長の小松崎賢治氏(62)は「原子力機構になっても、動燃で事故隠しなどを主導した人物が偉くなっていて全く体質が改善されていません。だから私たちは提訴したのです」と話します。(つづく)

(「しんぶん」赤旗2016年10月30日より転載)