国際エネルギー機関(IEA)は10月25日、風力や太陽光をはじめとする再生可能エネルギーの導入量が2015年に過去最大となり、15年には世界の発電量の23%だった再生可能エネルギーの割合が21年には28%にまで高まるとする報告書を発表しました。再生可能エネルギーは温暖化防止の柱として注目されています。
(桑野白馬)
23%→21年は28%も
報告書によると、15年に世界で導入された再生可能エネルギーの設備容量は1億5300万キロワットで、同時期の石炭の設備導入量を初めて上回りました。
特に風力(6300万キロワット)と太陽光(4900万キロワット)は継続的なコストダウンに伴って導入量が記録的に増えたとしています。今後も21年までに、陸上風力発電のコストが平均で15%以上、太陽光発電は約25%下がると見込んでいます。
さらにアメリカや中国、インド、メキシコなどで再生可能エネルギー発電に対する取り組みが予想以上に進み、21年までには昨年IEAが予想した再生可能エネルギー導入量に比べて13%の増加が見込まれるとしています。
英紙フィナンシャル・タイムズ(10月26日付)は、15年には世界で毎日50万枚の太陽光パネルが設置され、中国などでは、毎時間2基の風力発電機が建設されているとしてIEAの報告を紹介しています。同紙で、IEAの再生可能エネルギー部門責任者、パオロ・フランクル氏は、各国が取る温暖化政策が再生可能エネルギーの普及に大きく影響すると語っています。
昨年パリで行われた第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で採択した「パリ協定」では、世界共通の長期目標として産業革命後の地球の平均気温の上昇を2度未満にし、1・5度未満に抑えるよう努力する目標を明記。報告書は、パリ協定で定められた目標を達成するために、より強力な脱炭素化と、発電、熱、輸送部門での再生可能エネルギー利用の拡大が必要となると強調しています。
(「しんぶん」赤旗2016年10月27日より転載)