経済産業省は10月25日、東京電力福島第1原発の廃炉費用の負担のあり方と東電の経営改革を検討する「東京電力改革・1F問題委員会(東電委員会)」の第2回会合を開きました。東電福島第1原発の廃炉費用について、溶け落ちた核燃料の取り出し作業によって、現在の年間800億円から年間数千億円程度の資金確保が必要になる可能性があるとの暫定的試算を提示しました。賠償費用についても「増大に備えた資金が必要」としており、さらなる国民負担増につながる可能性があります。
福島第1原発の廃炉は30~40年に及ぶと見込まれ、廃炉費用の総額は東電が自ら確保するとされている2兆円を大きく上回るのは必至。東電が現在、賠償や除染も含め事故収束に充当できるのは年約4100億円とされ、どの程度の上積みが今後必要となるかが焦点になっています。廃炉にかかる詳細な費用は今後精査し、経産省は年末から年明けをめどに提示するとしています。
また、東京電力ホールディングスの改革では、柏崎刈羽原発(新潟県)などを有する原子力事業を分社化し、他の事業者と連携させる案を選択肢として示し、再稼働を政府が挙げて推進する姿勢を鮮明にした形です。
東電委員会では今後、経産省が示した案をたたき台に費用捻出に向けた経営改革や、費用支援の具体策の検討を加速させるといいます。
伊藤邦雄委員長は会合後の記者会見で、「改革がどの程度でないと廃炉費用を賄えないのかをこれから見極める」と説明しました。
(「しんぶん」赤旗2016年10月26日より転載)