これまでも最速と考えられていた氷河の移動速度が急激にスピードアップしていることがわかった・・。米・ワシントン大学とドイツ宇宙機関の研究グループが3日付の欧州地球科学連合誌『ザ・クリオスフェア』に発表しました。
この氷河は、グリーンランドの西側の沿岸に位置するヤコブスハブン氷河です。研究グループは人工衛星の観測データをもとに2012年の夏の氷河の移動速度を調べた結果、1年間に17キロ以上とわかりました。1日当たり46メートル以上移動する計算です。
ヤコブスハブン氷河はこれまでも流速が最も速い氷河の1つと考えられ、1912年に豪華客船タイタニック号に接触した氷山もこの氷河が起源とみられているほどですが、今回の結果は1990年代に記録された速度の3倍近いといいます。
氷河の加速は、海と接する末端で次々融解や氷山の分離が起こり、それを補おうとして内陸から次々氷が運ばれてくるためと、研究グループは考えています。ヤコブスハブン氷河では末端の後退がすでに始まっていますが、今世紀の終わりまでに約50キロ内陸へ後退する可能性があるといいます。
氷河の加速はそれだけ早く海面を上昇させます。2000年から12年にかけてヤコブスハブン氷河から海へ流出した氷で海面が1ミリ押し上げられたとみられていますが、今後さらに早く上昇させると懸念されています。
グリーンランド 北極海と北大西洋の間にある世界最大の島で、面積は日本の本州の約9.4倍。島のほとんどが厚い氷に覆われていて、最も厚いところは3000メートル以上あります。デンマーク領ですが、沿岸部に住む住民の大半は先住民です。