原子力規制委員会は10月5日、運転開始から12月で40年になる関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)が、新規制基準に適合しているとして、設置変更を許可しました。運転開始から40年を超える運転期間の延長認可を申請している老朽原発としては関電高浜原発1、2号機(福井県高浜町)に続いて、2例目です。老朽原発は事故が起きた時の危険性が高いため、動かすべきではないとの声が上がっています。
東京電力福島第1原発事故後に改定された原子炉等規制法で、原発の運転期間を40年とした上で、規制委が認めれば、最長20年の運転延長が容認されました。
8月4日からおこなった意見募集には、1390件の意見が寄せられました。
意見には、3号機の2次系配管が減肉で破損し、11人が死傷する事故(2004年)に触れ「長期間にわたり適切に管理されていない設備を多数有する40年を超える原子炉を机上の計画だけを審査して延長運転を認めるべきでない」と批判したものや「熊本地震のように複数回の強い揺れの影響について考慮されていない」などがありました。
美浜原発は、想定する地震の揺れ、基準地震動が993ガルと当初の750ガルから大幅に上がりました。関電は、旧来の耐震評価の手法では、多くの機器で耐震性が不足することから、異なる手法で評価を実施します。
また、関電は使用済み燃料プール内のラック(金属製の枠組み)をこれまでの固定式から、国内で初めて置く方式を採用するとしています。
また、防火性能の不十分なケーブルについて、規制委は防火シートで覆うなどとする関電の方針を了承しています。
基準地震動の問題では、元規制委員長代理の島崎邦彦東京大学名誉教授が、関電大飯原発(福井県おおい町)でその計算方式が過小評価の恐れがあると指摘し、別の計算方式の採用を求めました。規制委は見直しを拒否しましたが、過小評価が指摘された同じ計算方式は、美浜原発でも用いられています。
関電は追加対策の工事を終えるのは20年3月といいます。
美浜3号機は、1976年12月に運転開始。設備の詳しい設計を定めた工事計画や運転延長の認可の期限は今年11月中で、運転を延長するためには、それらの審査も終えなければなりません。
(「しんぶん」赤旗2016年10月6日より転載)