東京電力福島第1原発事故で、神奈川県内に避難を余儀なくされた被災者174人が国と東電を相手に損害賠償などを求めている「福島原発かながわ訴訟」の第17回口頭弁論が9月27日、横浜地裁(相澤哲裁判長)でありました。
福島県富岡町から横浜市戸塚区に夫婦で避難した今里雅之さん(69)が、体重が10キロも減り、慢性的な睡眠不足に苦しんでいるなど避難生活による被害を告発。「国や東電には、以前の生活を取り戻せない、私たちの計り知れない苦痛を理解してほしい」と訴えました。
原告弁護団の小賀坂徹弁護士は、4・5ミリシーベルトの被ばくで発がん率が20%増加するなどの最新の疫学研究を紹介。100ミリシーベルト以下の被ばく線量による健康への影響を事実上否定する国のワーキンググループ報告書の結論は維持できないと強調し ました。
山崎健一弁護士は、事故当時に原告が居住した各地域の状況が事故によって一変したことや避難指定が解除されても帰還率が低い実態を強調。事故で受けた甚大な被害を避難慰謝料とは別の慰謝料として評価するべきだと述べ、裁判所による現地検証を求めました。
(「しんぶん」赤旗2016年9月29日より転載)