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原発事故と漁業考える・・事故5年半 福島市でシンポ/北日本漁業経済学会

福島県漁業の今後を話し合ったシンポジウム=9月23日、福島市
福島県漁業の今後を話し合ったシンポジウム=9月23日、福島市

 東京電力福島第1原発事故の下での福島県漁業の今後を考えるシンポジウムが9月23日、福島市で開かれました。主催は北日本漁業経済学会。

 二平章会長が「震災から5年以上たった福島の現状と問題点を探りたい」と開会あいさつ。「福島県沿岸への原発事故影響と水産資源」と題したシンポでは、パネリストの県水産試験場職員3氏が報告しました。

 渡邉昌人氏は、放射線検出限界値未満の割合は今年6月以後95%以上で推移し「水産生物のセシウム濃度は今後も低下していくと考えられる」と指摘。根本芳春氏は、漁場の海水セシウム濃度が2012年4月以後は全地点で不検出となり「餌生物も含めて改善されていることから、魚介類の汚染も改善が進む」と述べました。

 鈴木聡氏は、試験操業データから魚介資源状況の変化を追い「多くの底魚類で重層や個体数の密度が高くなったのは沿岸漁業の操業自粛によると考えられる。今後は適切な漁獲管理方策をとることが重要だ」と指摘しました。

 「原子力災害化の試験操業の取り組みと漁村の展望」と題したシンポで、県漁連災害復興プロジェクトチームの八多宣幸氏は「試験操業の対象種類が当初の3から83まで増えた。消費者が福島の魚介類を安心して購入できるよう取り組みたい」と発言。福島大学教授の林薫平氏は、試験操業と汚染水問題で「活力ある漁業を取り戻そうとすることと、被害があるうちは補償を要求していく原則をどう両立させていくか」などの論点を提起しました。

(「しんぶん赤旗」2016年9月25日より転載)