政府は9月14日、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の在り方について、廃炉も視野に最終調整に入りました。もんじゅをめぐっては、原子力規制委員会が運営主体の交代を勧告していますが、受け皿探しは難航。政府内では、存続のための追加支出に国民の理解を得るのは難しいとの見方が出ており、26日召集の臨時国会前にも結論を出すとしています。
もんじゅは原発の使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクル政策の中核施設で、廃炉が決まれば政府が推し進めてきた政策は根底から見直しを迫られます。
これまで建設や維持に1兆円を超える国費を投じましたが、事故・トラブル続きで運転はわずか250日。原子力機構は廃炉に3000億円以上かかる可能性があるとみています。
もんじゅは1994年4月、核分裂が連続して起きる初臨界。95年12月にナトリウム漏れ事故を起こし、2010年5月に試運転を再開。同8月には燃料交換に使う炉内中継装置が落下し、再稼働できないまま、約1万点もの大量の機器の点検漏れが判明しました。規制委は13年5月、事実上の運転禁止を命じ、15年11月には運営主体の交代を文部科学相に勧告しました。
日本共産党は先の参院選挙政策で、破たんが明らかな核燃料サイクルからただちに撤退すること、高速増殖炉「もんじゅ」や再処理工場などの関連施設の廃止を求めています。
廃炉は当然・・技術的にも行き詰まり
館野淳・元中央大学教授の話
高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉は当然で、使用済み核燃料の再処理など核燃料サイクル政策も見直すべきです。
「もんじゅ」は、旧動燃の体質の問題もあり、多くの問題が生じました。また、ナトリウム技術など問題が多く、技術的にも行き詰まりに来ています。本来、再処理は高速増殖炉でプルトニウムを利用することが前提でした。
「もんじゅ」を使わなければ、使用済み核燃料の再処理工場ができても、普通の原発でMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料を使用するプルサーマルで消費した場合、相当数の原発でプルサーマルをしないといけなくなります。現実的ではありません。
日本は、すでに約48トンのプルトニウムを保有しています。これをどうするか検討しなくてはいけません。さらには、原発を動かすことで発生する使用済み燃料にも影響する問題です。原発をやめる前提で、使用済み核燃料をどう収束させるかを考える機会とするべきです。
(「しんぶん赤旗」2016年9月16日より転載)