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“福島に生きる”「命を中心に考える」・・いわき市民訴訟原告 市原水協代表理事 佐々島忠男さん(73)

「人間の命を中心に考えるべきだ」と話す佐々島さん
「人間の命を中心に考えるべきだ」と話す佐々島さん

 「原発ゼロと核兵器廃絶のたたかいが密接に結びついていることが鮮明になりました」と、佐々島忠男さん(73)はいいます。

 国と東京電力に原状回復と損害賠償をもとめるいわき市民訴訟(伊東達也・原告団長)の原告でいわき市原水協代表理事を務めています。

 「3・11」後、核兵器廃絶を求める署名数が大きく増えました。

 佐々島さんらが核兵器廃絶を求める署名を訴えると、原発事故前は370人から390人の署名でしたが、事故後は、五百数十人と増えました。

■違ってきた反応

 「市民の反応が違ってきました。共通なのは放射能にたいする恐怖を感じていることです。核丘器も原発も要らないということが原発事故後鮮明になったと思います」

 広島(6日)、長崎(9日)に原爆が投下された日を忘れないと、毎月6日と9日を全国いっせいに核兵器廃絶署名の行動を起こす日の「6・9行動」には欠かさず取り組んできました。

 いわき市での「6・9行動」は20年目になります。「きちんとやる人。真面目で仲間をあたたかく見る人です」と周りからの信頼は厚い。

 毎年8月に開く「いわき平和のつどい」の実行委員会事務局長を引き受け、今年は8月6日と7日に講演会や展示、映画「ガラスのうさぎ」の上映などに取り組みました。

 佐々島さんは、6人兄弟のなかで下から3人目に福島県に生まれました。働きながら学んできた苦学生で、茨城大学教育学部を卒業しました。「人間を育てるという仕事に魅力を感じ、平和や民主主義について教えたい」と、小学校の教員を38年間務めました。

 「私が教員をしていたころは子どもたちの親は出稼ぎが多かった。クラスの半分は父親が出稼ぎに行っていた。福島には子どもと母親が残された。出稼ぎに出た父親がそれっきり福島に帰らなくなることもあった。作文を書かせると、父親の帰りを待ちわびる内容が多かった」

 いわき市民訴訟の原告になったのは、「福島でこれだけ被害が出ているのに責任をとらない」国と東電に強い怒りを感じたからでした。

■壮大な運動必要

 原発事故による放射能の数値が異常に高いことが明らかになると、孫たちは岩手県盛岡市に避難しました。学校のプールには入れない、運動会は中止。「誰もが精神的な被害を感じた」と佐々島さん。

 にもかかわらず国は原発の再稼働推進や、海外輸出へと踏み出しました。「政府の政策を変えさせなければだめだ」と憤ります。

 安倍首相がオバマ米大統領の検討している核兵器の先制不使用政策に反対したことに、佐々島さんは「本当に核兵器を使用するとどうなるのか被害の恐ろしさについて分かっているのか。人間の命を中心に考えるべきだ」といいます。

 「壮大な運動が必要だ」と危機感を強めています。

(菅野尚夫)

(「しんぶん赤旗」2016年9月5日より転載)