東京電力福島第1原発事故に伴う「ふるさとをかえせ・福島原発避難者訴訟」の第18回口頭弁論が8月24日、福島地裁いわき支部(島村典男裁判長)で行われました。原告本人尋問が行われ、2法廷に分かれ、10人が陳述しました。同訴訟は双葉郡8町村の586人が東電に対して起こしているもの。
楢葉町の男性(81)は原発事故後2カ月、避難先を転々とする中で、体が弱って車いす生活となり、家族と別の介護付き住宅での1人暮らしとなり「毎日希望がない。東電は健康と生活を返してほしい」と訴えました。
双葉町の男性(59)は賠償をめぐり避難指示区域とそれ以外の人との間に「壁」ができてしまったと指摘。「妻は職場がなくなり、娘は双葉町で看護師になるという夢がなくなり、家は朽ち果て、家族の生活すべてが奪われた」と告発しました。
南相馬市の男性(48)は事故当時、小学校2年と4年だった娘が、避難と転校を重ねた苦しい生活について「覚えていない」と話していることについて「記憶が飛んでいるのか、忘れようとしているのか。精神的な影響が不安だ」と話し、富岡町の男性(72)は農業をし、つつましく暮らすという人生後半になってつかんだおちついた生活を壊されたことについて「国と東電は一刻も早く救済を」と述べました。
楢葉町の女性(66)は、両親と苦労して開拓した地での自給自足生活について「あの生活がなくなってしまったと思うとつらくて…」と絶句。「あの人たちは(賠償金をもらっている)避難地域の人たちと言われなくなるようにならないと、避難は終わったとはいえない」と涙ながらに話しました。
(「しんぶん赤旗」2016年8月25日より転載)