東京電力福島第1原発事故の放射能汚染水対策などを議論する原子力規制委員会の検討会が8月18日、都内で開かれました。1〜4号機周囲の地盤を凍らせる「凍土壁」(陸側遮水壁)の効果が表れていないとして、外部専門家から「破たんしている」と東電に対し厳しい意見が相次ぎました。
凍土壁の効果について、建屋海側の護岸に設置した井戸(地下水ドレン、ウェルポイント)からの地下水くみ上げ量が1日当たり70〜100トンに減少することを数値目標として、前回(7月19日)の検討会で確認。しかし、5〜7月の月別のくみ上げ量はそれぞれ、同的350トン、的320トン、約350トンでした。
橘高義典・首都大学東京教授は、「凍土壁を採用した理由の一つ『遮水能力が高い』は破たんしている」と指摘。既往技術によるコンクリートなどの遮水壁の検討を提案しました。
東電側は、凍らない部分に補助工事を行い効果が表れ始めているとして「今の段階では、破たんしていると考えていない」と説明しました。
徳永朋祥・東京大学教授は、汚染水発生量が減少する期日の見通しが示されていないと批判し、次のステップに進めないと述べました。東電側は、具体的な期日を示しませんでした。
(「しんぶん赤旗」2016年8月19日より転載)