内閣府、福井、滋賀、京都3府県および関西広域連合は8月15日、初めての県外への広域避難を含む「平成28年度高浜・大飯地域における原子力防災訓練」の内容について発表しました。
それによれば、27日に高浜原発(福井県高浜町)で、28日には大飯原発(同おおい町)で、それぞれ若狭湾沖で地震が発生。冷却材喪失により炉心損傷事故が発生し、5キロ圏(PAZ)の住民が指定場所に避難。さらに放射性物質が放出される事故に進展し、30キロ圏(UPZ)の住民にヨウ素剤が配布され、避難途中で放射性能汚染がないか確認するスクリーニングを受けた後、指定場所に避難するとしています。
27、28日に行う福井県民の避難訓練参加は約1,000人(過去最大)を予定。大野市など県内へは760人が避難し、また、240人が兵庫県への県外避難をバスやマイカーで初めて実施します。避難経路上の8カ所で安定ヨウ素剤を配布するほか、避難途中の放射能汚染検査(スクリーニング)を京都府あやべ球場や福井県美浜町役場などで行います。さらに今回、複合災害に対応する訓練として崖崩れによる障害物除去や、家屋倒壊により避難できない住民を保険福祉センターへ避難させる訓練(高浜町のみ)も行われます。
この発表に先立ち12日、福井県に申し入れた原発問題住民運動福井県連絡会の林広員事務局長は、「我々が要望した、30キロ圏内へのヨウ素剤の事前配布や、熊本地震などを想定した、屋内退避が不可能になる場合の詳細な避難計画を策定することなどへの対応は不十分で、SPEEDIを活用した避難計画の策定もなく、実効性がない」と指摘しました。また、これまでの避難訓練でもヨウ素剤配布や除染に1人当たり、または車1台あたり相当の時間がかかり渋滞などが発生しており、これらの課題がどのように解決されるか、連名で申し入れた原発住民運動福井・嶺南センターとともに監視活動を行うとしています。
(2016年8月16日、山本雅彦)