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原発審査基準は不合理・・川内許可取り消し訴訟開始/福岡地裁 & 複合災害対応できず・・伊方差し止め審尋で住民側/大分地裁 & 上関建設埋め立て免許延長 山口県に撤回要請/市民団体

原発審査基準は不合理・・川内許可取り消し訴訟開始/福岡地裁

 九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県薩摩川内市)で自然災害により過酷事故が発生すれば生命や生活環境に取り返しのつかない被害を受けるとして、九州を中心に10都県の原告33人が8月10日、国に設置変更許可の取り消しを求めている川内原発設置変更許可取消訴訟の第1回の口頭弁論が福岡地裁(倉澤守春裁判長)で行われました。

 裁判は、原子力規制委員会が九州電力に新規制基準に適合しているとして出した川内原発1、2号機の設置変更許可に対し、火山の影響について審査基準が不合理であるうえ判断過程に多数の過誤・欠落があり違法だとして6月10日に提訴されたもの。

 口頭弁論に先立つ門前集会には支援者約80人が集まりました。弁護団の海渡雄一共同代表は、川内原発運転差し止め訴訟の福岡高裁宮崎支部の決定で新規制基準の火山影響評価ガイドについて「不合理である」と認定されていることを指摘。「高裁が認定した事実だけに基づき原告勝利判決をただちに出すべきだと求める。短期で勝って司法の力で川内原発を止めたい」と語りました。

 原告の一人、熊本県水俣市の永野隆文さん(62)は「熊本地震の後、川内原発を止め点検するよう求めているがいまだ行われていない。原子力規制がいかに世間の常識からかけ離れているか裁判で明らかにしたい」と語りました。

(「しんぶん赤旗」2016年8月11日より転載)

 


複合災害対応できず・・伊方差し止め審尋で住民側/大分地裁

 四国電力が8月12日にも再稼働を狙う伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを求め、大分県の住民4人が申し立てた仮処分申請の第2回審尋(しんじん)が8月10日、大分地裁(竹内浩史裁判長)でありました。

 「伊方で重大事故が起きれば、大分県内も放射線の影響が避けられない」との住民側申し立てに、四国電力側は「安全性は十分に確保されている」と反論。申し立て却下を主張しました。

 審尋は非公開。審尋後に会見した住民側弁護団は、熊本・大分地震の経験から伊方原発から5キロの中央構造線断層帯の危険性、地震・津波・原発事故による複合災害が大きな争点になると指摘。「原発事故を抑え込もうとすれば、また放射能から逃れようとすれば地震や津波が妨害する。地震や津波から逃れようとすれば原発から出た放射能が妨害する。こういう複合災害に大分県の防災対策は対応ができていない」と述べました。

 申立人の一人、小坂正則さん=大分市=は「避難計画もない、住民置き去りの再稼働に憤りを感じる。司法の力で何としても止めてほしい」と訴えました。

 同原発をめぐっては申立人らも加わる「伊方原発をとめる大分裁判の会」が9月をめどに「伊方原発運転差し止め訴訟」を起こします。

(「しんぶん赤旗」2016年8月11日より転載)


 上関建設埋め立て免許延長 山口県に撤回要請/市民団体

入廷する原告と弁護団=8月10日、福岡地裁前
入廷する原告と弁護団=8月10日、福岡地裁前

 山口県の原発建設に反対する市民や団体でつくる「上関原発を建てさせない県民連絡会」(清水敏保、田川章次、那須正幹共同代表)は8月10日、中国電力が申請していた上関原発(同県上関町)建設予定地の公有水面埋め立て免許廷長の許可を撤回するよう県に申し入れ、文書での回答を求めました。木佐木大助(日本共産党)、戸倉多香子(民進党)、佐々木明美・中嶋光雄(社民党・市民連合)各県議が同席しました。

 応対した商工労働部の末永睦理事は「公有水面埋立法にもとづき、適正に審査した結果、許可した」と答えました。

 連絡会の会員が「埋め立て免許の延長申請は法にもとづいて許可しながら、片方では、発電所本体の着工時期の見通しがつくまでは埋め立て工事をしないよう要請したのは矛盾ではないか」との問いに、末永理事は「申請は法にもとづいて許可した。要請は、法的なものではない」との回答に、連絡会の会員が「発電所本体工事の着工時期がはっきりしないのに埋め立て許可をしたのは不適正ではないか」と追及しました。

 報告集会で弁護士の田川共同代表は「知事が中国電に要請したのは、反対運動の成果。埋め立て延長許可を取り消すまでがんばろう」と呼びかけました。

(「しんぶん赤旗」2016年8月11日より転載)