原子力規制委員会は7月27日、前委員長代理の島崎邦彦東京大学名誉教授が、関西電力大飯原発(福井県)の基準地震動(原発で想定する地震の揺れ)が過小評価である可能性を指摘したことを受けて行った原子力規制庁の試算は、計算過程に問題があるとして試算結果から基準地震動の妥当性を議論できないと結論づけました。その上で、島崎氏の指摘を受け入れず、大飯原発の基準地震動は十分な不確かさを考慮しているとして見直す必要はないとしました。
再度の試算については、適当な手法が確立していないなどとして行わずに、検討を打ち切りました。
試算は、大飯原発などの基準地震動の策定に使われている地震の大きさの予測式「入倉・三宅式」が、垂直や垂直に近い断層で、地震の大きさが過小評価になる恐れがあると島崎氏が指摘したことを受けて行われたものです。違う式「武村式」を使うことで、大飯原発の地震の揺れが変わるかをみました。
規制委は13日、事務方の規制庁が行った試算結果が基準地震動の範囲内に収まると結論づけました。しかしその後、島崎氏が試算の問題を指摘し、試算結果を補正などすることで「入倉・三宅式」を用いた基準地震動が過小評価であることが分かったと指摘。すると、規制委は、計算過程に無理があったとして、説明を変えました。
島崎氏は「入倉・三宅式」を用いない方法での基準地震動の策定を検討することを提案しています。しかし、27日の規制委会合で、他の手法については、規制委が要求または推奨するまでの「科学的・技術的成熱度に至っていない」として退けました。
(「しんぶん赤旗」2016年7月28日より転載)