東京電力福島第1原発の事故対応を議論する、原子力規制委員会の検討会が7月19日、開かれました。更田豊志委員長代理は、1〜4号機などの建屋内にたまっている高濃度汚染水の水量を減らし、放射性物質濃度を下げる対策を急ぐよう東電に求めました。汚染水をためるタンクの増設命令を出す可能性にも言及しました。
建屋には計約6万トンの高濃度汚染水が滞留。更田氏は、再び津波に襲われ流出する危険性を指摘し、放射性物質の除去装置「アルプス」などを使い処理を進める必要があると強調しました。
高濃度のトリチウム(3重水素)を含むアルプス処理水の処分をめぐっては、貯蔵タンクがひっ迫し、規制委は海洋放出するべきだとの見解を示していますが、経産省と東電の方針は未定。漁業者ら地元は、海洋放出に反対しています。
更田氏は、「処理済み水の行き先の結論が出ないから、高濃度の汚染水が建屋内に滞留していても仕方ないとはならない」と述べました。
検討会では、汚染水の増加を抑制するため建屋周囲の土壌を凍らせる「凍土壁」(陸側遮水壁)についても議論。3月末から運用している凍土壁の効果を数値で示す必要があるとして、地下水ドレン(護岸に設置した井戸)などからくみ上げた地下水量が1日当たり70〜100トン程度まで減少させることを目標にしました。6月のくみ上げ量は平均で同約320トンでした。
(「しんぶん赤旗」2016年7月20日より転載)