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規制委 基準地震動見直さず・・大飯 他原発の計算打ち切る

 関西電力大飯原発(福井県)などで想定される地震の揺れ(基準地震動)について、地震の規模を求める式が過小評価になっている可能性を前委員長代理で地震学者の島崎邦彦氏が6月に指摘した問題で7月13日、原子力規制委員会は試算した結果を公表し、基準地震動の範囲内に収まるとして「見直しは必要ない」と結論づけました。

 しかし試算は、基準地震動の策定の際に通常、考慮する不確かさをほとんど加味していません。にもかかわらず、同様の問題が懸念される九州原発玄海原発(佐賀県)などの再計算はせず、この問題の打ち切りを決めました。

 島崎氏は、原発の基準地震動の策定の際に用いる「入倉・三宅式」が、別の予測式「武村式」などと比べ、垂直や垂直に近い断層で過小評価になると熊本地震のデータで指摘していました。

 試算結果は、武村式に基づいて求めた大飯原発での地震の揺れは、水平方向で加速度が644ガル(ガルは揺れの強さを表す加速度の単位)、鉛直方向で405ガルでした。同じ条件で規制委が入倉・三宅式に基づいた試算は水平方向が356ガルで鉛直方向が233ガル。武村式では、それぞれ1・8倍、I・73倍に増大しました。

 基準地震動の策定では、断層の傾斜角度や地震波の伝播速度などを不確かさとして変化させて影響をみます。大飯原発ではこれらを考慮し、水平方向で856ガルなどの値を関電が示しています。

 しかし、今回の規制委の試算は、断層の破壊開始点では影響が最も大きいとされる箇所を選択していますが、その他の要素は考慮していません。

(「しんぶん赤旗」2016714日より転載)