原子力規制委員会は6月20日、審査中の関西電力大飯原発(福井県おおい町)で、想定する地震の揺れ(基準地震動)を再計算することを決めました。前委員長代理の島崎邦彦東京大名誉教授が過小評価の恐れがあると指摘していたもので、結果次第では、審査手法の見直しにつながる可能性もあります。
島崎氏は規制委の田中俊一委員長らと16日に面談し、大飯原発の基準地震動を求める際に使われた震源の大きさを推定する予測式「入舎・三宅式」に問題があると説明。垂直や垂直に近い断層面を持つ活断層に適用すると、震源の大きさが過小評価され、基準地震動も小さくなる傾向があると指摘し、別の予測式を使った再計算を提案していました。
20日の定例会合で、地震の審査を担当している石渡明委員は再計算について「すぐにお願いしたいと思っている」と明言。田中委員長も「ぜひ事務局に評価していただくようお願いする」と述べました。
事務局の原子力規制庁は別の予測式を使って大飯原発の基準地震動を再計算し、規制委に報告します。入倉・三宅式は、審査に合格した関電高浜原発(福井県高浜町)や審査中の九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の基準地震動の計算にも使われています。
(「しんぶん赤旗」2016年6月21日より転載)