関西電力美浜原発が立地する福井県美浜町で、「美浜を原発のない町へ!原発のない町づくりを考えよう」と題した講演会と同原発の廃炉炉を求めるパレード(実行委員会の主催、筆頭代表委員・河本猛美浜町議)が6月11日で開かれ、約300人が参加しました。
講演会で井戸謙一弁護士は、3・11前は、過酷事故はあり得ないとされていたが、今、争われている原発裁判では、過酷事故は起こるものであり、人格権が具体的に侵害されるリスクが社会通念上無視できるのか、が争点であると指摘した上で、「(原発は)社会が受け入れることができる限度を上回るリスクがある」と判断されるべきであり、それを判断するのは少なくとも専門家ではない一般市民であると述べました。そして、全国で争われている原発裁判で、裁判官の認識は変化しており、市民の認識をふまえ判決を出している。司法の力で原発をなくしていくことができる時代になっていると強調しました。
木原壮林・京都工芸繊維大名誉教授は、原発は事故率が極めて高く、人類の手におえる装置ではないと強調した上で、その被害の実例として、福島原発事故から5年、チェルノブイリ原発事故から30年たった今も、それぞれ10数万人の人々が、財産と故郷を奪われたままで、安全に暮らせる故郷の回復を望めないばかりか、その後始末は子々孫々まで危険に脅かされると指摘。原発全廃炉の運動の手綱を緩めてはならないと訴えました。
集会の後、参加者は会場(はあとぴあ)から関電原子力事業本部の前を経由し、JK美浜駅までシュプレヒコールをあげパレードしました。沿道では、玄関を開けて「ごくろうさま」と声をかけてくださる男性や手を合わせて感謝してくださる女性など、沢山の美浜町のみなさんが激励していました。
(2016年6月12日、山本雅彦)
■井戸謙一・弁護士
関電高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転差し止めを決定した今年3月の大津地裁の仮処分決定で、住民側の弁護団長を務めている。(滋賀弁護士会)金沢地裁裁判官だった2006年、北陸電力志賀原発2号機の運転差し止め訴訟で、国内で初めて運転差し止め判決を出した。
■木原壮林・京都工芸繊維大名誉教授
旧日本原子力研究所(現日本原子力研究開発機構)元研究員で、京都工芸繊維大名誉教授。若狭の原発を考える会・代表として、福井県おおい町に拠点を置いて活動している。この間、高浜町で「高浜原発再稼働を許さない!全国集会」(1月24日、同会主催)を600名の参加で成功させ、高浜原発4号機の再稼働当日には抗議・申し入れ(2月26日)を行った。日常的に福井、滋賀、京都などで集会・アメーバーデモに取り組んでいる。