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大飯原発訴訟 “私の指摘の射程は及ぶ”・・規制委の前委員長代理が地震過小評価の可能性指摘

大飯原発差止訴訟控訴審 第8回口頭弁論で、名古屋高裁金沢支部に入廷する原告団と弁護団(2016年6月8日)
大飯原発差止訴訟控訴審 第8回口頭弁論で、名古屋高裁金沢支部に入廷する原告団と弁護団(2016年6月8日、金沢市)

 大飯原発(福井県おおい町)の差止請求を認めた大飯原発差止訴訟の控訴審(名古屋高裁金沢支部・内藤正之裁判長)の第8回口頭弁論が6月8日開かれ、原告側から相談支援専門員の小松崎栄さんが意見陳述し、甫守一樹・鹿島啓一両弁護士が準備書面の説明を、日本科学者会議の山本雅彦さんが文書提出命令申立書について説明しました。

 小松崎さんは、東日本大震災で、福島県南相馬市の障害者訪問活動に参加したときの経験を陳述。「避難したけれども避難所にベッドがなく、ずっと車いすで過ごしたという方もいた。ぎりぎりの均衡を保って生活を成り立たせていた方たちは、その均衡を崩すことが命とりになる。障がいのある方にとっての避難は困難」と述べ、危険な原発を動かさないよう訴えました。

 新規制基準に基づく大飯原発の審査のまとめ役だった地震学者で前原子力規制委員会委員長代理の島崎邦彦氏(70)は、関電が地震の規模の算定に用いた入倉・三宅(2001)について、「過小評価となる可能性がある」とする陳述書を、同金沢支部に提出。甫守氏は、その内容を説明しました。

 甫守氏は、これまでの審理で、関電が大飯原発の地震想定でも同じ手法を用いているとして、島崎氏の主張を証拠として書面で提出。これに対し、関電側が大飯原発の「基準地震動の評価と無関係」と反論したため、島崎氏自らが「私の指摘の射程は(大飯原発にも)及ぶ」と今回の陳述書で再反論することになったと述べ、「これによっても、大飯原発の『基準地震動』が不合理であることは明らか」と主張しました。

 一方、関電広報室は「断層の長さ、幅、傾斜角を把握した上で保守的に、国の地震調査研究推進本部で採用されている手法を用いて地震動を評価している。過小でない」とするコメントを出しました。

 次回の期日は10月19日、次々回は来年1月30日と決まりました。

(2016年6月9日、山本雅彦)