参院環境委員会は5月17日、地球温暖化対策推進法改定案について参考人質疑を行いました。
地球温暖化防止の取り組みを進める「地球環境市民会議」(CASA)の上園昌武理事(島根大学法文学部教授)は、日本の温室効果ガス排出削減目標を、「パリ協定」で合意された「今世紀末までに実質ゼロ」を踏まえて「1990年比で18%減から、少なくとも40%削減以上に引き上げるべきだ」と主張。政府のエネルギー政策が、原発の原則40年稼働を延長して60年を前提とし、石炭火力発電所の新増設や輸出に固執していることを批判しました。
CASAの試算では「脱原発・脱化石燃料を進めながら、省エネと(再生可能エネルギーへの)エネルギーシフトで30年のエネルギー起源CO2排出40%削減は十分に実現可能だ」とのべました。
質問で日本共産党の市田忠義議員は、国全体のエネルギー消費量の8割が企業活動由来で、改定案が家庭に4割削減を求めていることには限界があり、「再生可能エネルギー由来の電力に大きく転換する取り組みが不可欠ではないか」と意見を求めました。
上園氏は「個人の努力だけでなく、設備投資というかたちでエネルギーの消費が大きく減るような仕組みをつくっていかなければならない」「省エネと再エネをどう組み合わせていくのかが今後の方向性として非常に重要だ」と答えました。
(「しんぶん赤旗」2016年5月18日より転載)