高浜原発3、4号機(福井県高浜町)について、「事故の対策などについて、説明が尽くされていない」として運転差し止めを命じた大津地裁の仮処分決定(2016年3月9日・山本善彦・裁判長)を不服として、関西電力が申し立てた異議の第1回審尋が5月10日、大津地裁で行われました。非公開の審尋はこの日で終了し、原告・住民側の井戸兼一弁護団長が記者会見し内容を説明しました。
関西電力側は、新たな証拠は提出せず、決定について「専門的知見を離れた独自の価値判断で合理性を欠く」と批判。また、決定の「不安を覚える」「疑問が残る」という言い方抽象的で原発ゼロリスクを求めるようなものだなどとして取消を求め、審理を早期に終結するよう求めました。
関電側は、「既に立証は十分尽くしている」とし、これまでの審理で提出した約840ページの書面、約6400ページの資料に加え、それらを分かりやすく再構成した87ページの書類を提出したといいます。
辻義則原告団長は、「関電側は安全性を立証できていない」、「決定の中身は市民感覚にそったもので、関電の反論の仕方には疑問と怒りを感じる」と語りました。また、住民側の弁護士は、「同じ裁判長(山本善彦・裁判長)ですから、異議審も期待出来ないので、早く大阪高裁(別の裁判長)の方に持って行こうと思っているのではないか」と話しました。
裁判所は審尋を同日で終わらせ、双方の主張に対する書面での反論提出期限を6月10日としました。
(2016年5月11日、山本雅彦)