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東電に3100万円賠償命令・・東京地裁 原発避難で患者死亡 & 原発訴訟で裁判官が現地調査提案/2例目

東電に3100万円賠償命令・・東京地裁 原発避難で患者死亡

福島第1原発事故から丸5年を前にした2月29日、布団などが放置されたままの双葉病院。避難で多くの入院患者が死亡した(河北新報のHPより=転載は山本雅彦)
福島第1原発事故から丸5年を前にした2016年2月29日、布団などが放置されたままの双葉病院。避難で多くの入院患者が死亡した(河北新報のHPより=転載は山本雅彦)

 東京電力福島第1原発事故で、避難中に適切な医療行為を受けられず死亡したとして、福島県大熊町の双葉病院に入院していた患者2人の遺族が、東電に計約6600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が4月27日、東京地裁でありました。中吉徹郎裁判長は「事故で過酷な環境にさらされ、脱水症状などに陥り死亡した」と述べ、東電に計約3100万円の支払いを命じました。

 双葉病院と系列の介護施設では入院患者50人以上が死亡したとされます。うち7人の遺族が東京地裁に提訴していますが、判決は初めて。遺族側の弁護士によると、ほかに福島、千葉両地裁で和解したケースが2件あるといいます。

 中吉裁判長は、搬送を待つ間に脱水症状となり、長距離のバス移動で状態が悪化し死亡したと指摘。一方、賠償額は事故前の疾病による影響を認めて2〜4割を減額しました。

 東電側は、避難と死亡との因果関係は認めた上で、金額面で争っていました。

 判決によると、双葉病院を含む原発の半径10キロ圏内に避難指示が出されたのは2011年3月12日早朝。当時98歳と73歳の男性患者は16日未明までに救出されたが、搬送先の病院などで同日死亡しました。

 原発事故をめぐっては、勝俣恒久元会長(76)ら東電旧経営陣3人が2月、双葉病院の患者44人を死亡させたとして業務上過失致死傷罪で強制起訴されています。

(「しんぶん赤旗」2016年4月28日より転載)


現地検証の日程提案・・福島原発避難者訴訟で裁判長

 福島県楢葉町や浪江町、双葉町などの住民が東京電力に損害賠償を求めた福島原発避難者訴訟(早川篤雄・原告団長)の第16回口頭弁論が4月27日、福島地裁いわき支部(島村典男裁判長)で聞かれました。

 島村裁判長は、原告側が強く実施を求めていた現地検証について「前向きに検討したい」とのべて、7月22日の日程を提案しました。実施が決定されると、生業(なりわい)訴訟で福島地裁が実施した検証に続いて2側目となります。

 裁判官が交代したことから、これまでの原告の主張の更新弁論と高田秀文さん(56)と寺岡訓子(のりこ)さん(61)の原告本人尋問を行いました。

 双葉町から避難している高田秀文さんは、原発技術者として働いてきた体験や事故後に転々と避難生活を余儀なくされ妻がパニック障害になった経過を陳述。「震災から5年が過ぎ双葉町も被災当初とは変わってきています。早く現地を見て検証してほしい」と訴えました。

 南相馬市小高地区から新潟県長岡市に避難している寺岡訓子さんは、避難生活を余儀なくされた父親が衰弱して亡くなるまでの経緯や長女が長岡市に避難したことで長女の夫とバラバラの生活となり離婚するまでに追い込まれたことを証言。「亡くなった父親のお骨を墓に入れることもできず、娘夫婦の離婚も、一緒に暮らしていたならば避けられた」と、原発事故がもたらした悲劇を告発しました。

 原告団と弁護団は、福島地裁いわき支部に原発事故関連の訴訟事件が多数起こされていることから、迅速な裁判審理のために、裁判官、書記官の増員を求める「建白書」を裁判所に提出する署名運動に取り組んでいます。

(「しんぶん赤旗」2016年4月28日より転載)